HubSpot CRM+MA一体運用 — 導入判断と設計テンプレート
CRMとMAを一元管理したい方へ
HubSpotの一体運用が向いている理由
顧客情報と追客履歴をひとつの画面で管理することで、
見込み客の発見から商談化までのサイクルを最速で回せます。
あなたの状況
診断の結果、あなたの組織では顧客情報(CRM(顧客関係管理システム))とマーケティング活動(MA(マーケティング自動化ツール))を一体で管理する段階にあります。
CRMとMAを別々のツールで運用すると、営業とマーケティングの間で情報の分断が起き、「見込み客への対応が遅れる」「施策の効果が追えない」といった問題が生じます。HubSpotでの一体運用により、「誰に何を送ったか」から「商談にどう影響したか」まで一直線に把握できる環境を構築できます。
CRM+MA分断時に起きる4つの失敗パターン
これまでの運用改善支援の中で、CRMとMAを別々のツールで運用していた企業に共通する失敗です。
- 引き渡しが遅い:マーケティングが獲得した見込み客の情報が営業に届くまでにタイムラグが発生し、温度感が下がった状態で架電する
- 履歴が追えない:営業が商談前に「この見込み客がどのページを見たか、どのメールを開封したか」を確認できず、準備不足で面談に臨む
- 二重入力の手間:同じ顧客情報をCRMとMAの両方に入力する必要があり、現場の負荷が増える
- 改善が止まる:施策とROI(投資対効果)の分析が手作業になり、PDCAが停止する
一体運用が向いている5つのサイン
以下に当てはまる項目が多いほど、CRMとMAの一体運用による効果が出やすい組織です。
- 営業とマーケティングの距離が近い、または兼務している
- リード獲得から商談化までのスピードを重視している
- ツール間連携にエンジニアリソースを割けない
- 営業が「見込み客がどのページを見たか」を知りたがっている
- 複雑な承認フローより、現場の実行スピードを優先したい
HubSpot一体運用の最小設計テンプレート
HubSpotでCRM+MAの一体運用を始める前に、以下の8項目を定義してください。定義が曖昧なまま運用を始めると、入力だけ増えて成果が見えない状態になります。
CRM+MA一体運用 最小設計テンプレート
1) CV(成果地点)の定義:
2) 同意取得と配信停止ルール:
3) MQL(マーケ → 営業引き渡し)の条件:
4) SQL(営業が商談化と認定)の条件:
5) SLA(営業の初動期限):
6) 案件ステージ(初回接触 → 提案 → 見積 → 受注/失注):
7) 必須入力項目(ステージ、次アクション、期限):
8) 計測指標(何を見て改善するか):
記入例(従業員50名・BtoBソフトウェア企業の場合)
1) CV:資料ダウンロード、デモ申込、問い合わせフォーム送信
2) 同意取得:フォーム送信時にオプトインチェックボックスを配置。配信停止はワンクリック解除
3) MQL条件:資料DL後にサービスページを3ページ以上閲覧、またはデモ申込
4) SQL条件:初回架電で「課題あり・予算あり・導入時期が半年以内」を確認
5) SLA:MQL発生から24時間以内に初回架電。未対応の場合は上長に自動通知
6) ステージ:初回接触 → ヒアリング → 提案 → 見積提出 → 交渉 → 受注/失注
7) 必須入力:ステージ変更時に「次アクション」「期限」を入力
8) 計測:月間MQL数、MQL→SQL転換率、SQL→受注転換率、平均商談期間
一体運用で変わる3つのポイント
CRMとMAが同じ基盤にあることで、以下の変化が生まれます。
- 施策の効果が追える:「誰に何を送ったか」が「商談にどう影響したか」まで一直線に見える。どのメールが商談につながったか、どのページ閲覧が受注に寄与したかを定量的に分析できる
- 対応スピードが上がる:見込み客がフォームを送信した瞬間に営業へ通知が届き、そのまま過去の閲覧履歴を確認して架電できる。ツール間の転記作業が不要
- 改善サイクルが早くなる:マーケティング施策と営業結果が同じダッシュボードで見えるため、「この施策は商談化率が高い」「この導線はCV(資料請求などの成果地点)後の離脱が多い」といった分析が週次で回せる
実装前に決めておくべき前提条件
HubSpotの一体運用を始める前に、以下の3つを関係者間で合意してください。ツールの設定よりも先に、この合意がないと運用が崩れます。
- MQL(マーケティング部門が営業に引き渡す見込み客)/SQL(営業が商談化と認定した見込み客)の定義を文書化する:「どの条件を満たしたら営業に渡すか」を、営業とマーケティングの両方が同意した文書にする
- SLA(Service Level Agreement:対応品質を保つための期限付きの約束事)を設定する:営業はMQL発生から24時間以内に初回架電。未対応の場合は自動通知を設定する
- ステージ定義を事実ベースにする:「興味ありそう」「脈あり」のような主観ではなく、「見積提出済み」「契約書送付済み」のような客観的事実で定義する
用語解説
- CRM(Customer Relationship Management)
- 顧客情報管理システム。顧客の連絡先、商談履歴、対応記録などを一元管理するツールです。HubSpotでは無料CRMが提供されています。
- MA(Marketing Automation)
- マーケティング自動化ツール。メール配信、フォーム、ランディングページ、スコアリングなどを自動化し、見込み客の育成を効率化します。
- CV(Conversion)
- 資料請求やデモ申込など、見込み客の情報を取得できた地点。CVの定義が曖昧だと、施策の効果測定ができません。
- MQL(Marketing Qualified Lead)
- マーケティング部門が「営業に引き渡すべき」と判断した見込み客。例:資料DL後にサービスページを複数閲覧した人。
- SQL(Sales Qualified Lead)
- 営業が「商談として追う価値がある」と認定した見込み客。MQLの中から架電やヒアリングを経て、予算・課題・時期を確認できた相手です。
- SLA(Service Level Agreement)
- 対応品質を保つための期限付きの約束事。CRM/MA運用では「MQL発生から24時間以内に架電」のような営業側の対応ルールを指します。
- オプトイン
- メール配信への同意取得。個人情報保護の観点から、メール送信前に受信者の明示的な同意を得ることが必要です。
- ROI(Return On Investment)
- 投資対効果。マーケティング施策にかけた費用に対して、どれだけ商談や受注につながったかを測る指標です。
- LTV(Life Time Value)
- 顧客生涯価値。1人の顧客が取引開始から終了までにもたらす利益の総額。CRMで長期的な顧客関係を管理することで向上を見込めます。
よくある失敗と対策
MQL/SQLの定義が曖昧で、営業が「質の低いリードばかり来る」と不満を持つ
MQLの条件を「行動ベース(3ページ以上閲覧+資料DL)」と「属性ベース(従業員30名以上+対象業種)」の両方で定義し、四半期ごとに営業と見直してください。運用しながら条件を調整するのが前提です。
必須入力項目が多すぎて、営業が入力を後回しにする
必須項目は3つ(ステージ、次アクション、期限)に限定してください。それ以外は任意入力にし、入力率を見ながら徐々に追加します。
ダッシュボードの指標が多すぎて、誰も見なくなる
定例会議で見るKPI(目標に向けた中間の数値指標)は3つ以内に絞ってください。「MQL数」「MQL→SQL転換率」「平均商談期間」で十分です。追加指標は参考資料にまとめます。
次にやること(7日 / 30日)
- 上記テンプレートでCV、オプトイン、MQL/SQL/SLA/ステージの暫定案を作成する
- 営業責任者とマーケティング責任者でテンプレートの内容を合意する
- HubSpotの無料CRMアカウントを作成し、基本設定を確認する
- ダッシュボードの計測指標(KPI 3つ以内)を固定する
- 運用開始後に使いにくい箇所を洗い出し、入力項目を調整する
- 定例会議でHubSpotの画面を見ながら進行する習慣を定着させる
これを書いた著者
HubSpot CRM+MA一体運用のご相談
「CRMとMAを一体で運用したいが、何から始めればいいか分からない」段階から、
定義づくり → 初期設定 → 定例会議の型まで整理します。
