HubSpot Marketing Hub — リード育成の設計テンプレート
見込み客の獲得から育成までを一貫管理したい方へ
HubSpot Marketing Hubが向いている理由
リード獲得 → 育成 → 営業引き渡しの流れを、
ひとつのツールで完結させることで、施策の効果が追えるようになります。
あなたの状況
診断の結果、あなたの組織ではMA(マーケティング自動化ツール)を導入し、見込み客の獲得から営業への引き渡しまでを仕組み化する段階にあります。
現在、フォームからの問い合わせや資料請求の後に「誰がどう対応するか」が属人的になっていたり、メール配信を手作業で行っている状態であれば、HubSpot Marketing Hub(HubSpotのマーケティング機能)による自動化が有効です。CRM(顧客情報管理システム)と統合されているため、データ連携の工数をかけずに運用を開始できます。
MAが機能しない5つのサイン
MAツールを導入しても以下の状態であれば、ツールの問題ではなく「運用設計」の問題です。ツールを変えても同じ失敗を繰り返します。
- フォーム通過者(CV(資料請求などの成果地点))の定義が決まっていない
- 見込み客の温度感(関心度の高さ)を区別できていない
- 営業担当がMA通知を無視している、または見ていない
- コンテンツ(メール・記事・ホワイトペーパー等)を作る体制がない
- 個人情報の同意取得(オプトイン(メール配信への明示的な同意))の運用が曖昧
Marketing Hubが向いている組織の特徴
以下に当てはまる項目が多いほど、HubSpot Marketing Hubの導入効果が出やすい組織です。
- CRMとMAを同じ基盤で運用したい:データ連携やAPI接続にエンジニアリソースを使いたくない
- フォーム・LP・メールをマーケ担当者が自分で作りたい:エンジニアに依頼しなくても制作・公開できる環境が必要
- 見込み客の行動履歴を営業と共有したい:「この人がどのページを見たか」を営業がリアルタイムで把握できるようにしたい
- 段階的に機能を拡張したい:最初は無料CRM+基本的なメール配信から始め、成果を見ながらアップグレードしたい
- 施策の効果を商談ベースで測定したい:「どのメールが商談につながったか」をデータで確認したい
MA運用の最小設計テンプレート
Marketing Hubの運用を始める前に、以下の10項目を定義してください。すべてを完璧に決める必要はありません。まず暫定で決めて運用しながら調整します。
MA運用 最小設計テンプレート
1) CV(成果地点)の定義:
2) 導線種別(どこからCVに至るか):
3) オプトイン・配信停止ルール:
4) セグメント条件(見込み客の分類基準):
5) スコアリング方式(関心度の点数化):
6) MQL条件(営業に渡す基準):
7) SQL条件(営業が商談化と認定する基準):
8) SLA(営業の初動期限):
9) コンテンツ体制(誰が、何を、どの頻度で作るか):
10) 計測・改善指標:
記入例(従業員40名・BtoB SaaS企業の場合)
1) CV:資料ダウンロード、無料トライアル申込、ウェビナー参加申込
2) 導線:SEO記事 → CTA → LP → フォーム / 広告 → LP → フォーム / メルマガ → LP
3) オプトイン:フォーム送信時に「メール配信に同意する」チェック必須。配信停止はワンクリック。同意元不明リストは配信対象外
4) セグメント:業種(IT/製造/サービス)× 従業員規模(30名未満/30-100名/100名以上)× 行動(資料DLのみ/複数ページ閲覧/トライアル申込)
5) スコアリング:資料DL +10点、サービスページ閲覧 +5点/ページ、料金ページ閲覧 +15点、ウェビナー参加 +20点、30日間未活動 -10点
6) MQL条件:スコア50点以上、かつ対象業種・規模に該当
7) SQL条件:初回架電で「課題あり・検討中・予算あり」を確認
8) SLA:MQL発生から24時間以内に架電。未対応は上長にSlack通知
9) コンテンツ:マーケ担当が月2本のブログ記事+月1回のメルマガを配信。ホワイトペーパーは四半期に1本
10) 計測:月間CV数、MQL(マーケから営業に渡す見込み客)数、MQL→SQL転換率、メール開封率、配信停止率
リード育成の設計:スコアリングとセグメント
MAの最大の価値は「見込み客を自動で育成し、温まったタイミングで営業に渡す」ことです。そのために2つの仕組みを設計します。
- スコアリング(行動スコア):見込み客がどれだけ関心を持っているかを数値化する。ページ閲覧、メール開封、資料DLなどの行動に点数を付ける。最初はシンプルに3段階(低/中/高)から始める
- セグメント(属性分類):業種・企業規模・役職など、見込み客の属性で分類する。「製造業×100名以上×部長以上」のように、自社のターゲット像に合わせて設定する
スコアリングとセグメントを掛け合わせることで、「対象属性に該当し、かつ行動スコアが高い見込み客」を自動でMQLとして営業に引き渡せます。
※ 最初から複雑なスコアリングは不要です。「資料DL = MQL」のようなシンプルな条件から始め、運用しながら精度を上げてください。
営業への引き渡し:MQLからSQLへの橋渡し
マーケティングと営業の間でよく起きるのが「引き渡し事故」です。MAが機能していても、営業側の受け取りルールが曖昧だと成果につながりません。
- 通知方法を決める:MQL発生時にSlackやTeamsに自動通知を送る。メール通知は埋もれやすいため、チャットツール連携を推奨
- SLA(対応品質を保つための期限付きの約束事)を設定する:MQL発生から何時間以内に初回架電するかを明確にし、未対応時の自動エスカレーションを設定する
- フィードバックループを作る:営業が「このMQLは質が低かった」と感じたら、その理由をMAチームに共有する仕組みを作る。これがスコアリング精度の改善材料になる
用語解説
- MA(Marketing Automation)
- マーケティング自動化ツール。メール配信、フォーム作成、リードスコアリング、ナーチャリング(育成)などを自動化し、見込み客を効率的に育てる仕組みです。
- Marketing Hub
- HubSpotのMA機能を担う製品。無料版から始められ、Starter/Professional/Enterpriseと段階的に機能を拡張できます。
- CV(Conversion)
- 資料請求やデモ申込など、見込み客が個人情報を提供する「成果地点」。MA運用の出発点であり、CVの定義が曖昧だと施策全体の効果が測れません。
- MQL(Marketing Qualified Lead)
- マーケティング部門が「営業に引き渡すべき」と判断した見込み客。スコアリングや属性条件に基づいて自動判定します。
- SQL(Sales Qualified Lead)
- 営業が「商談として追う価値がある」と認定した見込み客。MQLの中から架電やヒアリングを経て、予算・課題・導入時期を確認できた相手です。
- SLA(Service Level Agreement)
- マーケと営業の間の「リード対応品質保証」。MQL発生から初回架電までの期限を定め、対応漏れを防ぎます。
- オプトイン
- メール配信への明示的な同意取得。個人情報保護の観点から、フォーム送信時にチェックボックス等で同意を取得する必要があります。
- スコアリング
- 見込み客の行動(ページ閲覧、メール開封、資料DL等)に点数を付け、関心度を数値化する仕組み。点数が高いほど商談化の可能性が高いと判断します。
- ナーチャリング
- 見込み客の育成。まだ購買意欲が低い見込み客に対して、段階的に情報提供を行い、関心を高めていくプロセスです。
- CPA(Cost Per Acquisition)
- 顧客やリードを1件獲得するためにかかった費用。例:広告費100万円で50件のCV → CPA = 2万円。施策の費用対効果を測る基本指標です。
よくある失敗と対策
スコアリング条件を最初から複雑にしすぎて、運用が破綻する
最初はシンプルな条件(「資料DL = MQL」など)で始めてください。運用データが溜まってから条件を追加・調整する方が、実態に合ったスコアリングになります。
ワークフロー(自動化の分岐)が複雑すぎて、誰もメンテナンスできない
ワークフローは「一本道」から始めてください。分岐を増やすのは、一本道の運用が安定してからです。ワークフローの管理者を1名指名し、変更時は必ずその人が確認するルールを作ってください。
同意取得(オプトイン)の管理が甘く、配信停止者や同意元不明リストにメールを送ってしまう
配信リストに「同意元不明」のコンタクトが混入していないか、月次で確認してください。HubSpotの配信停止機能を正しく設定し、手動リストのインポート時は同意取得日と取得元を必ず記録します。
次にやること(7日 / 30日)
- CV地点(資料DL、デモ申込など)を洗い出し、一覧にする
- フォームの同意文言(オプトイン)を確認・整備する
- MQL/SQLの暫定条件とSLAを営業と合意する
- 上記テンプレートを埋めて運用ルールを確定する
- 最初のワークフロー(CV → MQL通知 → 営業架電)を稼働させる
- スコアリングの点数を実態に合わせて調整する
- ステップメール(3通程度)を作成・配信開始する
- ダッシュボードの計測指標を固定し、週次で確認する習慣を作る
