テクニカルSEOの盲点|気づかないうちに評価を落とす実装ミス12選

SEOのチェックツールで「重大なエラーはありません」と判定されているのに、検索順位が伸びない・想定よりもトラフィックが増えない、ということはありませんか?

その原因が、コンテンツや被リンクではなく、WordPressのテーマや実装の「小さなズレ」による隠れた減点要素になっているケースがあります。

本記事では、実際のコード断片をもとに、どのような実装が「減点ポイント」になり得るのかを整理し、サイトを作り替えずに修正できる現実的な改善方針を解説します。

この記事の執筆者について


15年間で100サイト以上のWebサイト改善に直に携わってきた株式会社ユニバーサルマーケティング代表の小長谷直登が、実務経験をもとに解説します。

この記事のポイント

  • 検索結果には出てこない「SEOの隠れ減点要素」の代表的なパターンを整理します。
  • 実際のコードレベルで、どこを見ると減点要素を発見できるのかを解説します。
  • 検索エンジンからの評価を落とさずに修正するための、安全な改善アプローチを提示します。

1.SEOの「隠れ減点要素」とは?

検索順位に直接は現れない「評価損失」

SEOの減点要素というと「低品質なコンテンツ」や「被リンクの問題」をイメージしがちですが、実際の現場では、テンプレートやJavaScriptの実装、metaタグの書き方といったテクニカルな要因によって評価を落としているケースが少なくありません。

これらの要素は、ツール上は「エラー」や「警告」として検出されないことも多く、目視でHTMLソースを確認しない限り気づきにくいのが特徴です。その結果、コンテンツを追加しても、想定ほどSEO成果が伸びない「見えない評価損失」が続いてしまいます。

次のセクションからは、とくに影響の大きいものから順に、実際のコード例とともに「何が問題なのか」「どう直せばよいか」を具体的に見ていきます。

2.JavaScriptによる自動言語判定とコンテンツ書き換え処理の問題

問題点

日本語ページ、英語ページ、韓国語ページなど複数の言語のユーザーに対して、<body>直後の<script>でユーザーの言語を判定し、document.body.innerHTMLを使ってコンテンツを丸ごと書き換えてしまうとスパム判定を受ける可能性があります。これは検索エンジンに対してユーザーとは異なる内容を見せる「クローキング」と誤解されるリスクが非常に高く、ペナルティの対象となり得ます。

具体的な修正案

言語ごとに完全に独立した静的なHTMLページ(例: en/, /jp/, /ko/)を用意し、サーバー側でリダイレクトするか、ユーザーに選択させる方式に変更してください。JSでの動的な書き換えは避けるべきです。

3.meta description タグの記述の問題

問題点

name=”description” ではなく property=”description”となっているケースです。これはOGP用の記述であり、Googleの検索結果で使われるdescriptionとしては認識されません。

具体的な修正案

検索エンジンが認識できるようにname=”description”のタグを別途追加します。
例:

<meta name=”description” content=”SEO業界で20年以上の実績がある株式会社XXXXX。AIと人間の手で企業のWebマーケティング活動を改善し、商品・サービスを本来届けるべき顧客に届く仕組みを実現します。”>

4.hreflangタグが未設定

問題点

多言語サイトにも関わらず、各言語ページの関連性を示すhreflangが未設定のケースです。SEO評価が分散し、検索ユーザーに適した言語のページが表示されない原因になります。

具体的な修正案

対応する全ての言語ページのURLをhreflangタグで指定します。
例:

<link rel=”alternate” hreflang=”ja” href=”https://hoge.com/jp/”> 
<link rel=”alternate” hreflang=”en” href=”https://hoge.com/”>

5.canonicalタグが未設定

問題点

ページの正規URLを示すcanonicalタグが未設定のケースです。評価の分散や意図しないURLのインデックスを防ぐために必須です。

具体的な修正案

ページ自身のURLを指す canonical タグを追加します。
例:<link rel=”canonical” href=”https://hoge.com/”> (※日本語ページの場合)

6.viewport タグの重複

問題点

<meta name=”viewport” …> タグが複数回、異なる内容で記述されているケースです。ブラウザの表示に意図しない挙動を引き起こす可能性があります。

具体的な修正案

viewportの指定は1つに統一します。通常は以下のような記述が一般的です。

<meta name=”viewport” content=”width=device-width, initial-scale=1″>

7.titleタグにビジネス上重要なキーワードが不足

問題点

タイトルがブランドのキャッチコピーになっており、ビジネス上重要なキーワードが不足しているケースです。例えば、「SEO」というキーワードで集客や問い合わせを増やすのであれば、「SEO」「SEO対策という」といった検索キーワードは必ず含める必要があります。

具体的な修正案

検索キーワードを含み、ページ内容が具体的にわかるタイトル(30字程度)に変更します。
例:<title>SEO対策に強い株式会社XXXXX</title>

8.og:url の内容が不適切

問題点

OGPのURL (og:url) に、ページのURLではなく画像のURLが指定されてしまっているケースです。SNSでシェアされた際のリンク先が正しく機能しない可能性があります。

具体的な修正案

ページの正しいURLを指定します。
例:

<meta property=”og:url” content=”https://hoge.com/”>

9.H1の乱用

問題点

複数のH1タグが使用されており、ページの主題が不明確になる可能性がある。また、文章の論理構造が崩れ、アクセシビリティ(特にスクリーンリーダーの利用者にとっての分かりやすさ)が低下する。

具体的な修正案

ページで最も重要な主題を示す見出しを1つだけ<h1>に設定する。その他の<h1>タグは、内容の階層に応じて<h2>や<h3>など、適切なレベルの見出しに修正する必要があります。

10.htmlタグにlang属性が不足

問題点

<html> タグにページの言語を示すlang属性が未設定のケースです。検索エンジンやブラウザにページの言語を正しく伝えるために重要です。

具体的な修正案

ページの言語に合わせて lang 属性を追加します。 例:<html lang=”ja”>

11.パンくずリストの構造化データが不完全

問題点

Yoast SEOが出力する構造化データ内のパンくずリスト(BreadcrumbList)で、ホームの次にすぐ記事タイトルが来ており、カテゴリーページが抜けてしまっているケースです。これにより、検索エンジンがサイトの階層構造を完全に理解できない可能性があります。

具体的な修正案

Yoast SEOの設定を見直し、パンくずリストにカテゴリー階層が含まれるように修正します。
【修正案の構造】TOP > カテゴリー名 > 投稿記事タイトル

12.パンくずリストの階層とJSONの構造が不一致

問題点

サイトに表示されているパンくずリストの階層とJSONに記述してあるパンくずリストの階層が一致していない問題です。

間違ったパンくずリストのJSON

サイトに表示されるパンくずリストが「TOP > 商品一覧 > 商品A」なのに対し、
構造化マークアップにあるパンくずリストの記述が「TOP > 商品A」となっていて、あるべきはずの「商品一覧 」が抜けてしまっているケースです。

<script type="application/ld+json">
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "BreadcrumbList",
  "itemListElement": [
    {
      "@type": "ListItem",
      "position": 1,
      "name": "TOP",
      "item": "https://hoge.com/"
    },
    {
      "@type": "ListItem",
      "position": 2,
      "name": "商品A",
      "item": "https://hoge.com/item/itemA/"
    },
  ]
}
</script>

正しいパンくずリストのJSON

具体的な修正案

サイトに表示されるパンくずリストの階層と構造化マークアップのパンくずリストの階層を合わせる必要があります。

<script type="application/ld+json">
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "BreadcrumbList",
  "itemListElement": [
    {
      "@type": "ListItem",
      "position": 1,
      "name": "Home",
      "item": "https://hoge.com/"
    },
    {
      "@type": "ListItem",
      "position": 2,
      "name": "商品一覧",
      "item": "https://hoge.com/item/"
    },
    {
      "@type": "ListItem",
      "position": 3,
      "name": "商品A"
    }
  ]
}
</script>

13.不要なHTMLの読み込み

問題点

ページソース内に、ヘッダーやフッターとは別に、Webflowで作成されたと思われる別のHTML(header-navbar, desktop-footer)が丸ごと読み込まれています。コードが冗長になり、ページの読み込み速度にわずかながら影響を与える可能性があります。

具体的な修正案

WordPressのテーマ内で必要なヘッダーとフッターのみが出力されるようにテンプレートファイルを整理し、不要なHTMLコードの読み込みを削除します。

まとめ

ご紹介した事例はほんの一部です。もし、コンテンツを増やしているにも関わらず検索順位が伸びない、アクセスが頭打ちになっていると感じている場合、それはテクニカルSEOの見えない減点が原因かもしれません。
コードや構造の診断は自社での判断が難しい領域です。お悩みの際は、ぜひ一度株式会社ユニバーサルマーケティングまでご相談ください。現状の課題を丁寧に可視化し、改善の優先順位までご提案いたします。

小長谷直登のイメージ
株式会社ユニバーサルマーケティング代表取締役|ビジネスアナリスト
小長谷直登
1984年神奈川県足柄上郡生まれ。 WEBマーケティングとシステム開発で54社のビジネスを支援。 SEOに強い会員サイトの構築を得意とし、新規会員獲得と既存顧客のLTV改善に寄与。 stripeを使った月額課金システムやキントーンやsalesforceとの連携。 実績として動画配信サイト、ポイントシステム構築、フリマサイト、旅行予約サイト、オンラインサロン、モノのサブスクなど一般消費者向けのサービス設計とサイト設計を得意としています。 2025年7月 AIパスポート取得済

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