オーケストレーション

ORCHESTRATION
読み: オーケストレーション

読み: オーケストレーション

オーケストレーションとはAI連携

複数のAIモデルや外部データベースを連携させ、複雑な業務プロセスを一つのシステムとして統合管理する技術的アプローチ。

かんたんに言うと

オーケストラで指揮者が各楽器の演奏タイミングや音量を調整し、一つの曲を完成させるように、複数のAIやツールを束ねて目的の処理を実行させる仕組み。

単体LLMの限界を超えるために複数AIを連携させる統合管理の仕組み

LLM単体でできることには限界がある。どれだけ優秀な生成AIでも、最新の社内データを持っていなければただの物知りなチャットボットにすぎない。そこでAPIを叩き、外部のデータベースや別のAIモデルと繋ぐ必要が出てくる。
これがオーケストレーションの出発点である。
例えば、ユーザーからの曖昧な質問をGPT-4oが解釈し、検索用のクエリに変換する。それを元に社内のベクトルデータベースから関連情報を引き出し、今度はClaude 3.5 Sonnetが回答の文章を生成する。適材適所でコンポーネントを配置し、指揮者のように統括する。
ただ、言うのは簡単だが実装は泥臭い。システムが複雑になればなるほど、どこでエラーが起きたのか追跡するのが困難になる。

AIコンポーネントが連動するプロセス

具体的な動作原理を見てみよう。ユーザーの入力がトリガーとなり、システム内部でタスクが細かく分割される。
ここでの主役はエージェントである。
エージェントは与えられた目標に対し、どのツールを使うべきか自律的に判断する。RAGを用いて社内規定を検索するのか、それとも計算ツールを呼び出すのか。プロンプトエンジニアリングでガチガチにルールを固めるアプローチとは異なり、ある程度の裁量をAIに持たせる。
だが、ここで現場の落とし穴が待っている。AIが意図しないツールを呼び出し、無限ループに陥るケースである。ログを見ると、延々と無意味な検索を繰り返していることがある。どこまでAIに自由を与えるか、それともルールで縛るか。このあたりの塩梅は非常に悩ましい。

現場を回す代表的なフレームワークと活用例

法務部門での契約書審査を想像してほしい。PDFからテキストを抽出し、過去の類似契約と照合し、リスク箇所をリストアップしてWordに出力する。この一連のフローを単一のモデルで処理するのは無謀である。
そこでDifyやSemantic Kernelといったフレームワークの出番となる。
これらを使えば、各ステップノードとして繋ぎ合わせ、視覚的にフローを構築できる。経理部門なら、メールで届いた請求書をOCRで読み取り、SalesforceなどのCRMにデータを登録する処理を連携させることも可能である。
ツールは確かに便利になった。しかし、バージョンアップの頻度が異常に高く、昨日まで動いていたコードが今日の朝には非推奨になっていることも珍しくない。

導入によって得られる効果と技術的な壁

複数のモデルを組み合わせることで、業務の適用範囲は劇的に広がる。特定のベンダーに依存しないため、OpenAIのAPIが落ちていればAnthropicに切り替えるといった冗長化も組める。ベンダーロックインを回避できるのは大きな利点である。
しかし、代償もある。
最大のネックはレイテンシである。複数のAPIを直列で呼び出せば、当然ながらレスポンスは遅くなる。ユーザーが画面の前で10秒も待たされるシステムは、実務では使い物にならない。さらに、呼び出し回数に比例してランニングコストも跳ね上がる。
精度を求めて複雑なフローを組むか、速度とコストを優先してシンプルな構成に留めるか。現場のエンジニアにとって、常に頭を抱える問題である。

自社にオーケストレーションが必要か見極める基準

本当にそこまでの仕組みが必要だろうか。
単に社内規程を検索したいだけなら、Difyの標準機能でサクッとRAGを組めば事足りる。わざわざ複雑な連携基盤をスクラッチで開発するのは、技術者の自己満足に陥る危険がある。
判断の分かれ目は、既存の業務フローをどこまでシステムに委ねるかに懸かっている。複数の部署をまたぐようなプロセスを統合するなら、オーケストレーションの真価が発揮される。だが、それには入念なPoCが求められる。
結局のところ、AIをどう繋ぐかよりも、どの業務をどう変えたいのかというDXの解像度が問われている。技術の面白さに目を奪われず、泥臭い運用保守のコストまで計算に入れた上で、自社の身の丈に合った構成を選ぶほかない。

当社の見解

当社ではClaude Code・Antigravity・Codexの3つのAIエージェントを日常業務で併用している。記憶を共有しているため、別のAIに同じ説明を繰り返す必要がない。ただし、記憶共有だけでは足りなかった。一方のAIが他方の成果物を勝手に修正して壊す事故が起きた。これを受けてファイル所有権制度を導入し、どのAIがどのファイルを所有するかを定義した。AIの自主性に頼らず、仕組みで上書きや巻き戻りを防いでいる。

同じ失敗を二度としないAIエージェント

今のAIは、聞けば何でも答えてくれます。
でも、セッションが切れた瞬間に前回の失敗を忘れます。

当社が開発しているAIは、過去の経緯を念頭に置いて、
聞かれる前に「それは前回うまくいきませんでした」と声をかけます。
人間にも同じ失敗をさせず、AI自身も繰り返しません。

古参の社員が横にいるように、黙っていても気づいてくれる。
それが、当社が考える本当のAI社員です。

相談する