Agentic Workflow
読み: エージェンティック・ワークフロー
自律型WFとはAI業務自動化
Agentic Workflowは、人間が細かく指示を出さずとも、複数のAIエージェントが自律的に計画を立てて連携し、複雑な業務プロセスを最後まで実行するシステムである。
かんたんに言うと
優秀なプロジェクトマネージャーが、専門スキルを持つ複数の部下にタスクを割り振り、進捗を管理しながら最終的な成果物をまとめ上げる組織の動きに似ている。
RPAや単一LLMの限界を超えるAgentic Workflowの自律連携
RPAはUiPathなどで事前に定義された手順を正確になぞるだけである。想定外のエラーが起きればそこで止まる。単一のLLM、例えばGPT-4oに複雑なプロンプトを投げても、途中で文脈を見失い破綻することが多い。
Agentic Workflowは違う。
目標を与えれば、エージェント自身がReActの枠組みで思考し、行動計画を練る。途中でWeb検索のAPIを叩き、取得したデータが不足していれば別の検索クエリを再発行する。この自己修正のループが組み込まれている点が、単なるスクリプト実行との大きな差である。ただ、どこまで自律性を許容するかは常に悩ましい。システムにフリーハンドを与えすぎると、意図しない外部サービスへのデータ送信を引き起こすリスクも跳ね上がるからである。
法務と物流部門での実運用事例
法務部門での契約書レビューを例に挙げる。Claude 3.5 Sonnetを搭載したリーガルエージェントが過去の判例データベースを検索し、別のGPT-4oベースのリスク評価エージェントが自社への影響を算定する。最終的にまとめ役のエージェントが修正案を提示する仕組み。
物流部門でも面白い動きがある。
天候データと交通情報をAPIで取得し、配送ルートの再計算をエージェントが勝手に行う。ドライバーの稼働状況を加味して配車システムに直接データを流し込む。人間は最終的な承認ボタンを押すだけである。だが、この承認プロセスを完全に省く勇気のある現場はまだ少ない。万が一の配送遅延の責任を、アルゴリズムに押し付けることはできないからである。
開発現場で使われるフレームワークの実態
開発ツールとしてMicrosoftのAutoGenやDifyがよく使われる。複数のエージェントに異なるペルソナを与え、チャット形式で議論させながらコードを生成させたり、データ分析を行わせたりする。
最近はSemantic Kernelを組み込んで、既存の社内C#アプリケーションと連携させるケースも増えてきた。
しかし、ツールを入れれば魔法のように動くわけではない。エージェント同士が無限ループに陥り、APIの課金が跳ね上がる事故は日常茶飯事である。予算上限のハードリミット設定を忘れると、月末の請求書を見て青ざめることになる。テスト環境での挙動と本番環境での挙動が乖離することも多く、運用担当者の胃を痛める原因になっている。
現場への導入を阻む技術的限界と運用コスト
エージェントが自律的に動くということは、ブラックボックス化が進むということ。途中の推論プロセスをトレースする仕組みを作らなければ、監査部門から確実にストップがかかる。
また、プロンプトの微調整だけで運用を乗り切ろうとするのは限界がある。
モデルのバージョンが上がった途端、昨日まで完璧に動いていたワークフローが突然エラーを吐き出す。このバージョン依存の脆さをどう吸収するか。ミドルウェア層での吸収を試みているが、根本的な解決には至っていない。導入すべきかどうか、現場のエンジニアのスキルセット次第で判断が分かれるところである。無理に導入しても、結局は人間が手動でリカバリする羽目になる。
当社の見解
AIに「考えさせる」技術は論文では華やかだが、実務で効くのは別の部分だ。当社の運用で分かったのは、推論の精度よりも「失敗したとき何が起きるか」の方が重要だということ。実際にエージェントが暴走してテスト環境を停止させた経験がある。その教訓を活かすためにもAIに記憶を持たせて、その教訓を活かすことで事故や手戻りは減る。記憶があり、その教訓を念頭に置いて仕事ができなければ、また同じミスを犯す。そうならないよう失敗をしないために何が必要なのか複数のAIで推論をし、また人間も一緒に考え、対策を練りルール化する。そのルールに沿って行動するためには、ソフトではなく、できるだけハードで確実に実行されるためのパイプラインが必要となる。
同じ失敗を二度としないAIエージェント
今のAIは、聞けば何でも答えてくれます。
でも、セッションが切れた瞬間に前回の失敗を忘れます。
当社が開発しているAIは、過去の経緯を念頭に置いて、
聞かれる前に「それは前回うまくいきませんでした」と声をかけます。
人間にも同じ失敗をさせず、AI自身も繰り返しません。
古参の社員が横にいるように、黙っていても気づいてくれる。
それが、当社が考える本当のAI社員です。
