Chain of Thought

CHAIN OF THOUGHT
読み: チェーン・オブ・ソート

読み: チェーン・オブ・ソート

思考の連鎖とはAI推論精度を向上

Chain of Thoughtは大規模言語モデルに対して論理的な推論プロセスを段階的に指示することで複雑な業務上の要求に対する回答精度を大幅に向上させるプロンプトエンジニアリングの手法である。

かんたんに言うと

新人スタッフに「売上データを分析して」と丸投げするのではなく、「まず昨年のデータと比べ、次に季節要因を洗い出し、最後に結論をまとめて」と手順を追って指示を出すアプローチに似ている。

LLMに論理的な思考手順を踏ませるChain of Thoughtの基本概念

LLMに複雑な計算や論理的推論をさせると、平気で嘘をつく。これは思考の過程をすっ飛ばして結論を出そうとするからである。
そこでプロンプトエンジニアリングの基本として定着したのがChain of Thoughtである。
「ステップ・バイ・ステップで考えてください」と一言添えるZero-shot CoTは有名だろう。
たったこれだけで、モデルは自ら推論の過程をテキストとして出力し始め、最終的な精度が跳ね上がる。
ただ、最近のモデルは賢くなった。
わざわざ指示しなくても内部で勝手に思考プロセスを回すようになっている。それでも、あえて明示的に手順を分解して指示すべき場面は現場に山ほどある。

業務を推進する具体的な活用事例と対応ツール

たとえば法務部門での契約書レビューを考えてみよう。
ChatGPTClaudeに「このNDAの問題点を指摘して」と投げても、表面的な条項の抜け漏れを指摘するだけで終わる。
ここでCoTの出番である。
「まず甲と乙の定義を確認し、次に損害賠償の上限規定を過去の判例と照合し、最後に自社に不利な条件をリストアップせよ」と指示を出す。
Gemini 1.5 Proの巨大なコンテキストウィンドウに過去の契約書データを突っ込み、この手順で推論させると、ベテラン法務担当者のような鋭い指摘を返してくる。
経理での異常値検知でも同じである。いきなり答えを求めず、仕訳データの突合手順を細かく指定する。
ツールが何であれ、このアプローチは効く。

導入によって得られる効果と注意すべき技術的限界

CoTを導入すればハルシネーションは減る。推論の過程が可視化されるため、どこでAIが勘違いしたのか人間が追跡しやすくなるのも大きなメリットである。
だが、良いことばかりではない。
最大のネックはトークン消費量の爆発的な増加である。
API経由でシステムに組み込む場合、思考プロセスを出力させる分だけ出力トークンが膨れ上がる。当然、コストに直結する。
レスポンスも遅くなる。
ユーザーがチャット画面で待たされる数秒は、体感として非常に長い。精度をとるか、スピードとコストをとるか。現場のエンジニアにとって、このトレードオフは常に悩ましい。

自社のAIプロジェクトに採用すべきかの判断基準

では、すべてのプロンプトにCoTを組み込むべきか。
答えはノーである。
単純なFAQ応答や定型文の生成に思考プロセスなどいらない。無駄にAPIの課金が増えるだけである。
対象業務の複雑さと、誤答によるビジネスリスクを天秤にかける必要がある。
PoCの段階で、CoTありとなしのパターンを比較し、ROIが成立するかシビアに計算してほしい。
現場の運用に耐えうるレスポンスタイムを維持できるかどうかも判断が分かれるところである。
AIの挙動をコントロールできていると錯覚するのは危険である。推論のステップを細かく刻んだところで、LLMが突然文脈を見失うリスクはゼロにはならない。

当社の見解

技術の選定で最も避けるべきは「流行っているから」という理由で導入することだ。当社は複数のAIツール・フレームワークを実際に検証した上で、自社の用途に合うものだけを採用している。検証せずに導入したツールは、ほぼ例外なく3か月以内に使わなくなった。実装指示した人間側が実装したことも忘れて、気が付けば動いていない機能があった、ということも起きる。さらに、MCPやフックやルールを増やしすぎてAIが情報過多で機能しなくなった経験もある。どんなにルールや機能を付け足しても機能しなければ意味がない。足し算より引き算。1週間の検証期間が、3か月の手戻りを防ぐ。

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