失敗しないホームページリニューアルの全手順|費用・事例・外注化のコツを解説

「ホームページが古くなってきた」「スマホで見づらいと言われる」「問い合わせが減っている」
そんな課題を感じていませんか?

本記事では、リニューアルで失敗しないための具体的な手順を、実務で使えるチェックリストやシミュレーターとともに解説します。自社で進める場合も、制作会社に依頼する場合も、この記事を読めば「何をすべきか」が明確になります。

この記事の執筆者について


15年間で100サイト以上の改善に携わってきた株式会社ユニバーサルマーケティング代表の小長谷直登が、実務経験をもとに解説します。

✅この記事はこんな方におすすめ

  • ホームページをリニューアルするべきか情報収集している人
  • リニューアルで抑えるべき点を知りたい人
  • 外注を検討している人

この記事で分かること

  • リニューアルが必要かを判断する5つのチェックポイント
  • よくある失敗パターンと回避策
  • 段階別の具体的な作業手順(準備〜公開まで)
  • 予算・期間の目安と費用シミュレーター
  • 成功事例3選(数値つき)

目次

1. リニューアルが必要かを判断する5つのチェックポイント

3つ以上当てはまる場合、リニューアルを検討すべきタイミングです。

  • スマホ対応していない(レスポンシブデザインではない)
  • Webサイトの表示速度が3秒以上かかる
  • 直近1年で問い合わせ数が20%以上減少している
  • 競合他社のWebサイトと比べて明らかに見劣りする
  • 最後の更新が2年以上前で、現在の事業内容と一致していない

2. よくある失敗事例と具体的な回避策

抑えるべきポイントがずれてしまうと、コストと時間をかけてリニューアルしたのに、費用対効果が出なかったということが往々にして起こります。下記の失敗事例と回避策を解説します。

失敗事例1:目的が曖昧なままデザインだけ変更

❌ 悪い例
「見た目が古いから新しくかっこよくしたい」だけで進めた結果、動作が重いWebサイトが出来上がり、問い合わせ数が変わらず、費用だけかかった。結果すぐに別の業者にリニューアルを依頼した。

✅ どうすれば失敗を避けられたか

  • リニューアル前の問い合わせ数を確認する必要あった
  • テスト環境で実際にリニューアル後のWebサイトを触って動かしてみる必要あった
  • 見た目のかっこよさと引き換えにリスクや懸念点はないか制作会社に確認するべきだった

失敗事例2:SEO対策を怠り検索順位が急落

❌ 悪い例
Webサイトを引っ越して、URLを変更したのに301リダイレクト設定を忘れ、検索順位が圏外に

✅ 失敗を避けるリニューアル前の必須チェックリスト
☐ 旧URL→新URLの301リダイレクト設定
☐ メタタグ(title、description)の移行
☐ 内部リンク構造の最適化
☐ Google Search Consoleでの登録

制作会社に依頼する場合は、上記の点と併せてどのような対応をしてもらえるのか確認しましょう。

失敗事例3:タイトなスケジュールで品質低下

❌ 悪い例
途中から多数の部署の責任者がかかわり承認プロセスが肥大化した。社内承認に時間がかかり、制作や動作検証に充てる時間が不十分だった。新商品に合わせて公開を優先したため、後から多くの不具合が見つかり、お客様からのクレームが頻発した。

  • ✅ どうすれば失敗を避けられたか
    余裕をもったスケジュール設定が必要だった。
  • 発注者に制作のフェーズごとの承認プロセスを確立しておけばよかった。

外注する場合、制作会社から告げられる最初の納期は作業工数ベースでスケジュールが敷かれているため、クライアント側の確認や社内稟議や決済にかかる日数は含まないことがあります。リニューアルは最低でも企画から公開まで4〜5か月は確保してください。

失敗事例4:現状データを取らず効果計測ができない

❌ 悪い例
100万円かけてリニューアルしたのに、前のデータがないため、Webサイト経由での売上がどれくらい改善したのか、誰もわからない。

✅ どうすれば失敗を避けられたか
リニューアルする1か月前はGoogleアナリティクスで以下のデータを必ず記録しておきましょう。

  • 月間PV・UU数
  • 主要ページの離脱率
  • コンバージョン率(問い合わせ、資料請求など)
  • 流入経路の内訳
  • CVR

3. リニューアルで得られる具体的成果

上記の画像のように正しくリニューアルを行えば、さまざまな恩恵が得られます。ここでは代表的な6つの効果を解説します。

成果1:ブランドイメージの刷新

具体例:古いデザインを一新したことで、企業の信頼度が向上し、問い合わせの質(予算規模)が平均1.5倍に向上。

成果2:SEO効果の改善

具体例:Webサイトの構造を見直し、検索順位が平均15位→5位に上昇。オーガニック流入が3倍に増加。

成果3:ユーザビリティの向上

具体例:スマホ対応により、離脱率が70%→40%に改善。コンバージョン率が2倍に向上。

数値で見るリニューアル効果(中小企業50社の平均)

  • 問い合わせ数:平均1.8倍
  • 滞在時間:平均1.5倍
  • 直帰率:平均20%減少

※弊社調査による

成果4:広告費の費用対効果が劇的に改善

具体例:ランディングページの表示速度とUI改善により、Google広告の品質スコアが向上。CPCが30%削減され、同じ予算で1.5倍のクリックを獲得。さらにCVRも2倍になり、ROAS(広告費用対効果)が2.8倍に向上。

指標リニューアル前リニューアル後改善率
広告CVR1.2%3.4%2.8倍
CPA(顧客獲得単価)25,000円8,800円65%削減
ROAS120%340%2.8倍

成果5:採用コストの削減と応募者の質が向上

具体例:採用ページとブランディングを刷新した結果、応募数が2.3倍に増加。さらに企業理解度の高い応募者が増えたことで、内定承諾率が45%→72%に向上。採用単価が88万円→35万円に削減。

指標リニューアル前リニューアル後
月間応募数8名18名
内定承諾率45%72%
採用単価88万円35万円

成果6:営業プロセスの効率化と商談化率の向上

具体例:製品情報やFAQを充実させた結果、問い合わせ前の情報収集が完了し、初回商談での理解度が向上。商談化率が28%→55%に改善し、営業の訪問回数が平均3.2回→1.8回に削減。

  • 導入事例ページ充実 → 事前の信頼構築により、商談のハードルが下がる
  • 料金表の明示 → 予算感の合わない問い合わせが減り、営業効率が向上
  • よくある質問の充実 → 初回商談での質問時間が40%削減

4. リニューアル成功のための準備チェックリスト(段階別)

STEP1:現状分析(所要時間:1週間)

  • ☐ Googleアナリティクスで直近6か月のデータを取得
  • ☐ 主要ページの離脱率・滞在時間を確認
  • ☐ ヒートマップで問題箇所を特定
  • ☐ 競合のWebサイト5社を分析(デザイン、機能、SEO)

STEP2:目標設定(所要時間:3日)

  • ☐ 数値目標を設定(例:問い合わせ月20件→30件)
  • ☐ KPIを決定(例:CTR、CVR、直帰率)
  • ☐ 達成期限を決定(例:公開3か月後)

STEP3:要件定義(所要時間:1週間)

  • ☐ サイトマップ作成
  • ☐ 必要機能のリストアップ
  • ☐ デザインの方向性決定
  • ☐ 予算・スケジュールの策定

5. リニューアルにかかる工期と具体的ステップ

Webサイトの制作の規模別工期

Webサイトの規模と承認プロセスによって工期が大幅に変わります。

規模期間の目安想定ページ数特徴
大規模サイト約6か月〜9か月100〜1000P(または「1000P以上」)部門横断型。要件・承認プロセスが多い。
中規模サイト約3か月〜5か月30〜100P程度構成とデザインを重点管理。スピードと品質のバランス重視。
小規模サイト約1か月〜2か月10〜30P程度担当者主導。テンプレート利用・迅速リリース。

大規模サイトのリニューアルの具体的ステップ

ステップ期間担当主な作業内容
STEP1
現状分析と課題抽出
約4週間社内チーム+外部コンサルアクセス解析+ヒートマップ分析
複数部門へのヒアリング
競合
顧客分析シート作成
STEP2
目標設定とKPI決定
約2週間経営層+マーケティング部門KGI/KPIツリー設計
ダッシュボード構築
数値目標の合意形成
STEP3
サイトマップ・要件定義
約4週間PM+各部門代表全体サイトマップ策定
機能要件書/UI要件書
デザインコンセプト決定
STEP4
提案書作成と業者選定
約4週間調達担当+PM+法務RFP作成(提案依頼書)
5社前後への提案依頼
プレゼン評価と業者決定
STEP5
デザイン・コンテンツ制作
約8週間制作会社+社内監修全テンプレート設計
撮影
取材
ライティング
原稿
画像
動画制作
STEP6
構築・実装
約8週間開発チーム+セキュリティ監査CMS構築
API連携
レスポンシブ対応
総合テスト/脆弱性診断
STEP7
公開と運用開始
約2週間〜全員+広報・運用チーム301リダイレクト設定
Google Search Console/GA設定
ABテスト
運用マニュアル化
  • 上場企業・大企業のコーポレートサイト
  • 大規模ECサイト/モール型サイト
  • メディア・ニュースポータルサイト
  • 大学・教育機関サイト(総合大学クラス)
  • ナショナルブランド/製品群サイト
  • プラットフォーム・マッチングサイト

大規模なWebサイトをリニューアルする場合、制作するページ数が多いこともさることながら、関係者部署への説明や説明資料作成など、制作以外の工数が大幅に増えます。上記の工数は、すべてスムーズに無駄なく進んだ場合の目安工数となっており、実際は発注者側の承認に日数がかかるため、×1.5倍~2倍の時間がかかるケースもあります。

中規模サイトのリニューアルの具体的ステップ

ステップ期間担当主な作業内容
STEP1
現状分析と課題抽出
約2週間社内チームアクセス解析
ユーザーヒアリング
競合調査
STEP2
目標設定とKPI決定
約1週間経営層+マーケティング担当目標数値設定
KPIシート作成
STEP3
サイトマップ・要件定義
約2週間PM主要ページ構成策定
機能要件リスト
デザイン方針整理
STEP4
提案書作成と業者選定
約3週間PM+調達担当提案書作成
3社程度から見積もり
提案比較
業者決定
STEP5
デザイン・コンテンツ制作
約6週間制作会社+社内ワイヤーフレーム作成
デザインカンプ制作
原稿・画像作成
STEP6
構築・実装
約4週間開発チームCMS実装
各種テスト
フォーム
プラグイン設定
STEP7
公開と運用開始
約1週間〜全員・301リダイレクト
・GA/Google Search Console登録
・効果測定開始
  • 企業コーポレートサイト(中堅企業)
  • 病院・クリニックの公式サイト(医療法人規模)
  • 学校・教育機関サイト(専門学校・私立高校など)
  • BtoBサービスサイト
  • ブランド・ECサイト(商品点数が少ない)
  • 自治体・団体サイト(地方中核都市レベル)

小規模サイトのリニューアルの具体的ステップ

ステップ期間担当主な作業内容
STEP1
現状分析と課題抽出
約1週間担当者現状課題整理
Google Analytics確認
簡易競合チェック
STEP2
目標設定とKPI決定
約3日担当者簡易的な目標設定(例:CVR向上5%)
STEP3
サイトマップ・要件定義
約1週間担当者+外注ページリスト作成
必要機能の整理
STEP4
提案書作成と業者選定
約1週間担当者制作会社1〜2社へ見積もり依頼
コストと納期比較
STEP5
デザイン・コンテンツ制作
約3〜4週間外注中心テンプレートベースのデザイン
簡易コピーライティング
画像差し替え
STEP6
構築・実装
約2週間外注or自社構築WordPressテーマ設定
プラグイン導入
動作テスト
STEP7
公開と運用開始
約3日〜担当者公開処理
GA/Search Console登録
簡易効果測定
  • 個人事業・小規模店舗サイト
  • サービス単体紹介LP(ランディングページ)
  • 個人ブランド・フリーランスのポートフォリオサイト
  • スタートアップ/中小企業のプロトタイプサイト
  • 地域ビジネス・ローカル店舗サイト
  • イベント・キャンペーン特設サイト

6. 予算と期間の目安(詳細版)

Webサイトの規模別費用相場

サイト規模概算費用想定期間
小規模サイト(〜15ページ)約30〜150万円約2〜3か月
中規模サイト(〜50ページ)約150〜300万円約3〜4か月
大規模サイト(51ページ以上)約300万円〜4か月以上

大規模サイトの内訳例

項目費用目安備考(大規模サイトでの実際の内容)
要件定義・企画150〜300万円全社ヒアリング
システム要件
情報設計
画面遷移図
ガイドライン策定
部署横断での要件調整・RFP(提案依頼書)作成を含む。
デザイン200〜400万円トップ+主要テンプレート10〜15種類
ブランドガイドライン準拠
多言語デザイン対応
UIデザインシステム化
コーディング300〜600万円ページ数100〜300以上
動的テンプレート化
アクセシビリティ対応
SEO構造最適化
SPA化
CMS実装200〜400万円大規模CMS(Movable Type、Sitecore、AEMなど)導入。
ワークフロー承認
権限管理
マルチサイト運用設計
コンテンツ制作150〜300万円取材
撮影
ライティング
翻訳(英語・中国語など)
ブランド/採用/IRなど複数カテゴリの統一原稿作成
テスト・QA50〜100万円全デバイス検証
アクセシビリティチェック
負荷試験
セキュリティテスト
合計1,050〜2,100万円グローバル対応
多機能CMS
ページ数拡大により上振れあり

中規模サイトの費用の内訳例

項目費用目安(中規模サイトでの実際の内容)
要件定義・企画30〜50万円キックオフ
ヒアリング
サイトマップ作成
要件定義書
画面遷移図
簡易RFP(提案依頼書)作成
デザイン50〜80万円トップ+下層テンプレート3〜5種
ワイヤーフレーム
デザインカンプ
UIガイド(色・タイポ・コンポーネント)
コーディング60〜100万円レスポンシブ対応込み
共通ヘッダー/フッター
主要テンプレ実装
軽微なアクセシビリティ対応
表示速度チューニング
CMS実装30〜50万円WordPress等の構築
固定ページ
投稿のテンプレ設定
カスタム投稿
ACF等
初期SEO設定(タイトル・OGP・サイトマップ)
コンテンツ制作20〜40万円原稿作成
校正
写真撮影(半日〜1日)または素材選定
画像最適化
テスト・QA10〜20万円動作確認
主要ブラウザ/スマホ検証
フォーム送信テスト
リンク切れ確認
リダイレクト確認
合計200〜340万円

小規模サイトの費用の内訳例

項目費用目安(小規模サイトでの実際の内容)
要件定義・企画5〜10万円ヒアリングシートによる要件整理のみ。
構成案・簡易ワイヤーフレームの作成レベル。
デザイン10〜20万円トップ+下層2〜3ページ程度。
既存テーマまたはテンプレートをベースに調整。
コーディング10〜20万円ページ数5〜10ページ前後。
レスポンシブ対応込み。アニメーションや動的要素は最小限。
CMS実装5〜10万円WordPressやSTUDIOなど簡易CMS導入。
ニュース投稿や画像差し替え程度の更新機能。
コンテンツ制作5〜15万円テキスト原稿は支給ベース。
写真撮影または素材画像利用。ライティング最小限。
テスト・QA3〜5万円主要ブラウザとスマホでの動作確認。
フォーム送信・リンク切れチェック中心。
合計40〜80万円※1〜10ページ程度の小規模サイト想定。
テンプレート活用で短納期対応可能。

費用を抑える3つのポイント

ホームページリニューアルは、「費用を削る」よりも「ムダをなくす」という発想で考えると、本質的にコストパフォーマンスが上がります。

① 要件を明確にして“ムダな仕様”をなくす
「誰が何の目的で使うのか」を最初に明確化。
例:採用目的なら応募導線とスマホ対応に集中します。→ 多機能CMS・動的検索・多言語対応など不要なものを削除します。

② 既存資産(文章・写真・構成)を最大限活用する
写真撮影・原稿作成・翻訳はコストが膨らむ部分です。既存コンテンツを再利用して新デザインに流用します。ランディングページの素材や社内にある写真素材を集めると、利用できる資産が見つかります。

③ テンプレートデザインや既存テーマを活用する
完全オリジナルデザインよりも、WordPressテーマ(例:SWELL/Lightningなど)をベースにすると1/3コストで実現できます

④ ページ構成をシンプルにする
「見られないページ」を作らないことも削減につながります。noindexにしているページやアクセスが少ない下層ページを統合・集約すると削減できます。

⑤ コンテンツ更新を自社でできるようにする
更新を外注するとランニングコストがかさむ場合、WordPressなどのCMSを導入し、担当者が自分で更新できる体制を整えることもトータルのコストを下げるコツです。

⑥ 相見積もりではなく“要件比較”を行う
単価の安さではなく「どこまで含まれているか」で比較すると後々の事故を防げます。格安業者は写真・文言・修正回数・SEO設定・運用費用が別料金の場合があります。

本質的に“費用対効果”を最大化する考え方

「安く作る」よりも「高くても早く回収できる」構造を作ることが大切です。

たとえば、

  • 制作費80万円でも、月5件の問い合わせが来れば半年で回収。
  • 一方、制作費30万円でも、問い合わせゼロなら赤字です。

👉 費用対効果=制作費 ÷(改善効果 × 継続期間)
この観点で「ROI(投資対効果)」を考えると、本質的な判断ができます。

成果を出すリニューアルの本質

「何を変えるか」より「なぜ変えるか」を先に決めます。

ほとんどの失敗は、
「デザイン変えたい」や「古いから」など“目的が曖昧な状態”で始めることから生まれます。
目的(例:問い合わせ数を2倍にしたい)を明確にすると、
✔️ 予算配分
✔️ ページ構成
✔️ 必要な機能
が自然と整理され、ムダな費用が減ります。

相見積もりは提案の質が低下するリスクあり

これは非常に現実的で、制作現場ではよく起こる“心理的・構造的リスク”です。
単に「複数社に見積もりを取ること」自体は悪ではありませんが、出し方次第で制作会社のモチベーションを著しく下げることがあります。

⚠️ なぜ相見積もりで制作会社のやる気がなくなるのか

原因制作側の心理・構造
①「価格競争案件」と見なされる「結局一番安い会社に決まる」と思われた瞬間、提案のクオリティが下がります。→ “やる気のある会社ほど撤退”する。
② 情報が不十分(仕様不明)で出させる要件が曖昧なまま「ざっくり見積もりを」と言われると、正確な積算ができず“様子見モード”になります。→ 熱量の高い提案が出てこない。
③ 相手に比較材料だけ提供させる「御社の提案を参考に他社に見せる」ことを感じ取られると、一気に信頼を失う。
④ 案件の本気度が伝わらない「どうせまた見積もりだけ取って終わりだろう」と思われ、優先順位が下がりスピード感も遅く、本気の提案が出てない。
⑤ 評価基準が不明確「価格・納期・提案力・信頼性、どれを重視しているか」が伝わらないと、制作側は“当てにされていない”と感じます。

制作会社の本音
「競合他社と戦うのはいい。でも、“価格だけの戦い”になるなら時間のムダ。」

多くの優良制作会社は、「しっかり要件を聞き、最適な提案をしたい」という姿勢を持っています。しかし、最初から“コスト削減前提”で扱われると、「安請け合いしても良い結果が出ない」と判断して距離を置くのです。

正しい「相見積もり」の取り方(質の高い提案をもらう方法)

相見積もりは単なる金額比較ではなく、“どこまで発注者の事業を理解してくれたか”の診断ツールでもあります。したがって、「最安ではなく、最も“本気で考えてくれた会社”を選ぶ」という姿勢を見せるだけで、相手のやる気と提案の質は劇的に変わります。

ポイント内容
① 目的と重視点を明示する「価格重視」ではなく「信頼と提案力を見たい」と明確に伝える。
② 要件定義を事前に整理する各社が同じ条件で見積もりできるように、ページ構成・機能・納期・目的を1枚にまとめる(簡易RFP)。
③ 「相見積もり中である」ことを正直に伝える隠すと後で信頼を失います。「3社にお願いしており、最も信頼できるパートナーと組みたい」と伝えるのが誠実。
④ フィードバックを返す「A社の提案で良かった点」「B社の見積の疑問点」を簡単に共有するだけで誠実さが伝わり、再提案の質が上がる。
⑤ “価格交渉”ではなく“提案改善”で勝負させる「もう少し効率的な構成にできますか?」と要件ベースで相談すれば、相手も納得感を持って対応する。

相見積もりの正しい依頼文テンプレート

「ホームページリニューアルを外注する際に、制作会社へ問い合わせするメールテンプレートと提出する簡易RFP(提案依頼書)」テンプレートです。このテンプレートを利用して制作会社に見積もりを依頼することで、熱量の高い本気の提案をもらえる可能性が高まります。

提案の質を下げない相見積もり依頼メールテンプレートはこちら

制作会社のモチベーションが上がる簡易RFP(提案依頼書)テンプレートはこちら

リニューアル費用相場シミュレーター

ページ数を入力すると、概算の費用と想定工期を自動計算します。

7. 格安Webサイト制作サービスを選ぶ際の注意点

「月額1,000円〜」「初期費用0円」といった格安Webサイト制作サービスも存在します。予算が限られている場合は魅力的に見えますが、リニューアルの目的次第では大きなリスクがあります。

格安サービスの一般的な特徴

項目格安サービス通常の制作会社
初期費用0〜5万円50〜300万円
月額費用1,000〜5,000円0〜3万円(保守契約)
デザインテンプレート選択式オリジナルデザイン
カスタマイズ性限定的自由度が高い
SEO対策基本機能のみ戦略的に実装
解約後Webサイトが消滅する場合もデータは自社に残る

格安サービスが向いているケース

✅ 以下の条件に当てはまる場合は選択肢になります

  • とにかく早く・安くサイトを持ちたい(名刺代わり)
  • デザインや機能にこだわりがない
  • 月間PVが1,000以下の小規模サイト
  • 将来的に本格的なリニューアルを予定している
  • テンプレートデザインで十分

格安サービスのリスク

以下の目的がある場合は避けるべきです。

1. 解約するとWebサイトが消える

多くの格安サービスは月額課金を停止するとWebサイトが削除されます。データの所有権が自社にないため、乗り換えが困難です。

2. カスタマイズに別途高額費用

基本プランは安くても、「問い合わせフォーム追加:3万円」「ページ追加:1万円/ページ」など、結局高額になるケースがあります。

3. SEO効果が限定的

テンプレート構造やサーバー環境の制約で、本格的なSEO対策ができない場合があります。検索流入を増やしたい場合は不向きです。

4. サポートが薄い

格安サービスはサポート対応が遅い・質が低い傾向があります。トラブル時に数日〜数週間放置されるリスクがあります。

5. 広告が強制表示される

無料〜格安プランでは、Webサイトに運営会社の広告が表示されることがあります。企業の信頼性に影響します。

判断基準:こんな場合は通常の制作会社を選ぶべき

  • 年間売上1,000万円以上の事業
  • Webサイトから月10件以上の問い合わせを獲得したい
  • 競合他社との差別化が必要
  • オリジナルデザインで企業ブランドを確立したい
  • 将来的に機能追加(会員制、EC、予約システムなど)を予定している

💡 コストパフォーマンスの考え方
初期費用100万円のWebサイトで年間120万円の売上増加があれば、1年で投資回収できます。格安サービスで売上が増えなければ、月1,000円でも「高い買い物」になります。

重要なのは「総額」ではなく「費用対効果(ROI)」です。安く制作できても、Webサイトのアクセスが0のWebサイトは存在しないものと同じです。

8. 「SEO対策万全」と謳う業者の見分け方

Webサイト制作会社の多くが「SEO対策済み」「SEO万全」と宣伝していますが、その実態は天と地ほどの差があります。初心者には見分けがつきにくいため、具体的なチェックポイントを解説します。

「SEO対策万全」の3つのレベル

レベル対策内容効果
レベル1
最低限の技術対応
・titleタグ、metaタグの設定
・レスポンシブ対応
・SSL化(HTTPS化)
・サイトマップ送信
これだけでは順位は上がらない
(多くの格安業者はここまで)
レベル2
構造最適化
・内部リンク構造の設計
・ページ表示速度の最適化
・構造化データの実装
・適切な見出しタグの設計
土台は整うが戦略がない
(一般的な制作会社はここまで)
レベル3
戦略的SEO
・競合分析に基づくキーワード選定
・検索意図に合わせたコンテンツ設計
・E-E-A-T強化施策
・被リンク獲得戦略
・継続的な効果測定と改善
実際に順位が上がる
(SEO専門会社レベル)

悪質業者の典型的なパターン

⚠️ こんな営業トークは要注意です。

1. 「必ず1位にします」

→ 嘘です。Googleのアルゴリズムは誰も完全にコントロールできません。断言する業者は避けましょう。

2. 「被リンクを1000本つけます」

→ 危険です。低品質な被リンクはペナルティの原因になります。量より質が重要です。

3. 「最新のAI技術で自動最適化」

→ 実態不明。AIツールの有無ではなく、戦略設計と運用体制が重要です。

4. 具体的な施策を説明できない

「何をするのか?」の質問に対して、「プロの技術で対応します」のような曖昧な回答しかできない業者は避けるべきです。

5. 成果事例の証拠がない

「実績多数」と言いながら、具体的なキーワードや順位変動のグラフを見せられない業者は信頼できません。

信頼できる業者を見分ける10の質問

以下の質問をして、具体的に答えられるかどうかで判断してください。

質問良い回答の例
1. どんなキーワードで対策しますか?競合分析の結果を見せながら、具体的なキーワード候補を提示
2. なぜそのキーワードを選んだのですか?検索ボリューム、競合性、コンバージョン率を根拠に説明
3. 競合のWebサイトとの差別化戦略は?具体的な競合のWebサイトを挙げ、勝てる理由を論理的に説明
4. 順位が上がるまでの期間は?「3〜6か月」など現実的な期間を提示(即効性を謳わない)
5. 効果測定の方法は?Googleアナリティクス、Search Consoleでの具体的な指標を提示
6. コンテンツは誰が作りますか?専門ライターの有無、制作フローを説明
7. 内部リンク構造はどう設計しますか?サイトマップやトピッククラスターの概念を用いて説明
8. ページ速度の目標値は?「Core Web Vitalsで全て緑」など具体的な数値目標
9. 被リンク獲得の方法は?ホワイトハットな手法(プレスリリース、コンテンツマーケティング等)を説明
10. 過去の成功事例を見せてください具体的なキーワード、順位変動グラフ、売上への影響を提示

提案書で確認すべきポイント

業者から提案を受けたら、以下の項目が具体的に記載されているかをチェックしてください。

☑ 必須チェック項目

  • ☐ ターゲットキーワードの一覧(最低10個以上)
  • ☐ 各キーワードの検索ボリュームと競合性
  • ☐ 競合サイト3〜5社の分析結果
  • ☐ サイト構造図(サイトマップ)
  • ☐ コンテンツの企画案(最低5記事分)
  • ☐ 技術的SEO施策の具体的リスト
  • ☐ 効果測定のKPIと目標数値
  • ☐ 月次レポートのサンプル
  • ☐ リニューアル後の運用体制
  • ☐ 契約期間と解約条件

制作費用が20~60万ほどの小規模サイトの設計には、「Webサイト制作」というよりもWordPressなどのテーマ(テンプレート)に当て込んで納品する形が多いので、月次レポートやサイト構成図はないことがほどんどです。

SEO業者選定の失敗事例

❌ よくある失敗パターン

ケース1:「SEO対策済み」のはずが何もされていなかった
→ 蓋を開けてみたら、titleタグが全ページ同じ、metaタグも未設定。「対応済み」の定義が業者と認識が違った。

ケース2:順位は上がったが問い合わせが増えなかった
→ 競合性の低いニッチキーワードで1位を取ったが、検索ボリュームがゼロで誰も検索していなかった。

ケース3:ペナルティを受けて圏外に
→ 業者が自動生成した低品質な被リンクが原因でGoogleからペナルティ。回復に1年以上かかった。

ケース4:全くアクセスがないと思ったらnoindexになっていた
→ 業者が品質の検査を行っていなかった。

SEO業者選びの鉄則

  1. 具体性がない提案は断る:「プロの技術」「独自のノウハウ」など抽象的な言葉だけの業者は避ける
  2. 即効性を謳う業者は避ける:SEOは最低3〜6か月かかる。1か月で1位は不可能
  3. 過去の実績を必ず確認:キーワード、順位変動、売上への影響を具体的に見せられる業者を選ぶ
  4. 契約前に質問攻めにする:上記の10の質問に明確に答えられない業者は候補から外す
  5. 相見積もりは必須:最低3社から提案を受け、内容を比較検討する

9. 成功事例6選(具体的な数値つき)

事例1:化粧品ECサイトのリニューアル

企業情報従業員15名、年商3億円、予算250万円
課題カート到達率18%(業界平均25%)
スマホ離脱率75%(業界平均60%)
決済完了率40%(業界平均65%)
具体的施策ワンカラムレイアウトに変更
購入ボタンを常時表示(スティッキーヘッダー)
入力フォーム:12項目→6項目に削減
Amazon Pay導入
商品レビュー機能追加
結果(6か月後)CVR:2.5%→4.8%
客単価:8,500円→9,200円
月間売上:480万円→1,540万円
投資回収期間:4.2か月
成功の鍵ユーザーテスト(10名)を実施し、実際の購入フローを観察

事例2:BtoB製造業サイトのリニューアル

企業情報従業員50名、年商15億円、予算180万円
課題製品情報が整理されておらず、問い合わせが月10件まで減少
具体的施策製品ごとの導入事例ページを新設
用途別検索機能を実装
WordPress導入で社員が自社更新可能に
問い合わせフォームを2ステップに簡略化
結果(3か月後)問い合わせ数:月10件→45件
PV:1.8倍
平均セッション時間:2分→4.5分
成功の鍵既存顧客20社にヒアリングし、求められる情報を明確化

事例3:不動産仲介サイトのリニューアル(広告ROAS改善)

企業情報従業員8名、年商2.5億円、予算120万円
課題リスティング広告のCVRが0.8%で低迷
広告費月120万円に対し成約が月3件のみ
ランディングページの直帰率が78%
具体的施策ページ表示速度を7秒→1.8秒に改善
スマホ専用LPを新設(フォーム3ステップに簡略化)
広告文とLPのメッセージを完全一致
物件検索機能を使いやすく再設計
問い合わせフォームに電話番号タップボタン追加
結果(3か月後)【広告効果の改善】
CVR:0.8%→3.2%(4倍)
CPA(顧客獲得単価):40万円→12.5万円
ROAS:83%→320%
Googleの品質スコア:4/10→8/10

【ビジネス成果】
月間成約数:3件→12件
広告費は据え置きで成約が4倍に
投資回収期間:2.8か月
成功の鍵広告代理店と連携し、広告文・LP・Webサイト全体のメッセージを統一設計

💡 重要なポイント
Webサイトのリニューアルは「Webサイト単体」の改善だけでなく、広告運用の効率も大きく左右します。特にリスティング広告・SNS広告を実施している企業は、リニューアル後にROASが2〜3倍改善するケースが多く見られます。

10. よくある質問(FAQ)

当社も含めて一般的な回答になります。

Q1:リニューアル中も現行のWebサイトは表示されますか?
はい、公開日まで現行のWebサイトは通常通り表示されます。開発は別環境で行い、完成後に切り替えます。

Q2:リニューアル後、検索順位は下がりませんか?
適切な301リダイレクト設定を行えば、検索順位を維持できます。URLを変更する場合は必ずリダイレクト設定が必要です。

Q3:自社でリニューアルできますか?
小規模なWebサイト(10ページ以下)かつ社内にWeb知識がある場合は可能です。ただし中規模以上は専門家への依頼を推奨します。

これらに該当する場合は早急な対応を推奨します。

11. まとめ:リニューアル成功への3つのアクション

今すぐできる3つのアクション

1. まずは現状診断
→ リニューアルすべきかどうか、本記事のチェックリストで自社のWebサイトを評価してみましょう。

2. 簡易見積もりを取得
→ シミュレーターで概算費用を確認してみましょう

3. 専門家に相談
→ 無料相談で具体的なプランを確認してみましょう

リニューアルを成功させるには、現状の課題を正確に把握し、明確な目的を持って準備を進めることが重要です。本記事で紹介した手順とチェックリストを活用して、自社に最適なリニューアルを実現してください。

もし「何から手を付ければ良いか分からない」と感じた方は、まずは専門家に相談してみませんか?現状の課題整理から最適なプランのご提案まで、私たちが伴走します。

小長谷直登のイメージ
株式会社ユニバーサルマーケティング代表取締役|ビジネスアナリスト
小長谷直登
1984年神奈川県足柄上郡生まれ。 WEBマーケティングとシステム開発で54社のビジネスを支援。 SEOに強い会員サイトの構築を得意とし、新規会員獲得と既存顧客のLTV改善に寄与。 stripeを使った月額課金システムやキントーンやsalesforceとの連携。 実績として動画配信サイト、ポイントシステム構築、フリマサイト、旅行予約サイト、オンラインサロン、モノのサブスクなど一般消費者向けのサービス設計とサイト設計を得意としています。 2025年7月 AIパスポート取得済

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