投資対効果が言えない提案はしない。
この一行を胸に刻んだのは、ある商談の席だった。
資料を一通り説明し終えた私に、クライアントは静かに問いかけた。
「この提案に、あなたの信念は宿っていますか?」
資料は整い、数字も辻褄は合っている。
それでも胸の奥がざわめいた。
もし自分が投資する側なら、
この提案に自分の大事なお金を預けられるだろうか。
振り返れば、その違和感はずっと前から積もっていた。
「このサイト、本当に集客につながるのだろうか。」
Web制作から始めて、何百ものサイトを作ってきた。
作れば作るほど、疑問が膨らんでいった。
お客様は「ホームページが欲しい」と言う。
でも本当に欲しいのは問い合わせだ。売上だ。
予算が限られたサイトは、納品した瞬間に飾りになる。
それを「仕事をした」と言えるのだろうか。
ホームページ制作会社だからホームページを売る。
広告運用会社だから広告を売る。SEO会社だからSEOを売る。
「餅は餅屋」で、専門家は自分の商品を売るしかない。
でもそれが、本当にお客様のためになっているのだろうか。
そもそも問題は何なのか。
その問題を解決するには、どんな課題設定が必要なのか。
どんな仮説を立てて、どう検証するのか。
そのプロセスがないまま、施策だけを提案する仕事の仕方に疑問があった。
予算がないなら、他にできることはないか。
お客様の強みは何か。訪問者は何を求めているのか。
そこを整理しないまま作っても、形だけのサイトにしかならない。
ホームページを一つ作るということは、
一つの事業を作ることと同義だ。
そう気づいてから、事業の上流から設計するようになった。
新規事業の現場に入り、事業計画を書き、導線を設計し、数字を追いかける。
何度も失敗して、自分なりの法則を積み上げていった。
事業そのものの成功にコミットしたい。
一つのマーケティング施策ではなく、
もっと上位の設計を最適化することで事業を成功に導きたい。
そう思い、独立して法人にした。
想いだけでは仕事にならない。信用がいる。
だからまず、数字で語れる会社にしようと決めた。
最初に差し出すのは事業計画だ。
施策にかかるコスト、損益分岐点、三年後の営業利益。
「これだけ使って、これだけ残る」を数字で見せる。
数字が見えれば、踏み出せなかった投資にも根拠が持てる。
ただ、事業計画だけでは利益は生まれない。
計画を実行に変えるには、
売上をつくる知見と、それを仕組みにする設計力が要る。
集客の導線を設計する。
個人の経験に閉じていた業務を言語化して、ワークフローに落とし込む。
仕組みで回せるところは仕組みに任せ、
人が判断すべきところに集中させる。
これが私たちの仕事だ。
託された資金に対して、結果で返す。
だから投資対効果が言えない提案はしない。
必要とあれば競合すら紹介する。
売上は信用の量だ。
その信用を一社ずつ積み重ねていく。
お客様の事業に必要なら、自分の商品以外のことも提案する。
そのために、自分自身の守備範囲を広げ続ける。
一人でできることには限りがある。
だから戦略、AI、エンジニアリング、デザインの専門性を持つチームで、
一社で対応できる領域を広げていく。
