エキスパートシステムとは

EXPERT SYSTEM
読み: エキスパートシステム

エキスパートシステムとは、特定分野の専門家が持つ知識や経験を条件分岐のルールとしてコンピュータに組み込み

読み: エキスパートシステム

特定分野の専門家が持つ知識や経験を条件分岐のルールとしてコンピュータに組み込み、複雑な意思決定を再現する古典的AI技術。第2次AIブームを牽引した手法だが、ルールの維持管理コストが課題になった

かんたんに言うと

ベテラン社員の頭の中にある「もしAならB、さらにCならD」という判断基準を、巨大なフローチャートとしてシステムに書き写したもの。

専門家の思考プロセスを再現するルールベースAIの基本構造

あなたの会社のベテラン経理担当者は、複雑な経費精算の妥当性をどのような手順で判定しているだろうか。その頭の中にある判断基準を抽出し、システム上で再現しようとするのがエキスパートシステムである。
基本構造はシンプルで、専門家の知識を蓄積する知識ベースと、それを用いて結論を導き出す推論エンジンから成る。推論の手法には、事実から結論を導く前向き推論と、仮説から事実を逆算する後ろ向き推論がある。
第2次AIブームの主役だったこの技術は、確率で言葉を紡ぐ現在の生成AIとは異なり、厳密なIF-THENルールの集合体として動く。100%の確実性が求められる業務において、この古典的AIは今でも無視できない存在感を持っている。

経理や法務の現場で稼働する代表的なツール群

歴史を遡れば1970年代の医療診断システムMYCINに行き着くが、現代のビジネス現場でも形を変えて生き残っている。
例えば、Red Hatが提供するオープンソースのDroolsや、エンタープライズ向けのIBM Operational Decision Manager、あるいはInRuleといったビジネスルール管理システムがそれに該当する。これらは経理部門での不正請求の検知や、法務部門における定型的な契約書の条項チェックなどで実稼働している。
ルールさえ定義できれば、属人的な判断をシステムに置き換えることができる。特定の担当者が休むと業務が止まるという製造ラインの品質判定プロセスに、これらのツールを組み込んでいる工場も少なくない。

知識獲得のという現場の泥臭い現実

最大の利点は、なぜその結論に至ったのかという推論過程を完全にトレースできる点にある。ブラックボックス問題とは無縁である。
しかし、現場への導入は決して甘くない。専門家自身が自分の暗黙知を正確に言語化できないのである。これを知識獲得のと呼ぶ。
さらに、想定外の事象には一切対応できないフレーム問題も立ちはだかる。法改正や社内規定の変更があるたびに、膨大なルールの依存関係を紐解いて手作業で修正しなければならない。このメンテナンス作業は、運用担当者の心を確実に削っていく。ルールを継ぎ足し続けた結果、誰にも全容が分からないスパゲティ状態の知識ベースが出来上がることも珍しくなく、どこで運用を諦めるかは判断が分かれる。

生成AI全盛期における導入の判断基準

ディープラーニング生成AIがもてはやされる今、あえてエキスパートシステムを選ぶ理由はどこにあるのか。
それは、コンプライアンス違反の判定や金融取引の審査など、1ビットの揺らぎも許されない領域である。確率論で動く機械学習モデルに、絶対に間違えてはいけない判断を委ねるわけにはいかない。
最近では、LLMに非定型データの読み取りを任せ、最終的な合否判定をエキスパートシステムで行うハイブリッドAIの構成をとる現場も増えてきた。どこまでをルールの網の目で縛り、どこからを確率的なモデルに任せるか。システムの設計思想そのものが問われる時代になっている。古い技術だと切り捨てるのは簡単だが、適材適所で使い分ける泥臭い決断こそが実務家には求められるのではないだろうか。

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