GraphRAG

GRAPHRAG
読み: グラフラグ

読み: グラフラグ

GraphRAGとは知識グラフ×検索

GraphRAGはナレッジグラフRAGを組み合わせた検索拡張生成の手法である。テキストの断片を並べるだけの従来型RAGと異なり、エンティティ間の関係性を構造化して検索に活かすことで、複数の文書にまたがる複雑な質問にも正確に答えられる。

かんたんに言うと

通常のRAGが図書館で本の該当ページを探す仕組みなら、GraphRAGは図書館全体の索引と相互参照を使って「この著者の別の本にも関連する記述がある」と教えてくれる仕組みである。

複数文書をまたぐ質問に従来のRAGが答えられない理由

従来のRAGは、質問に意味が近いテキスト片をベクトルデータベースから引っ張ってくる。「この製品の仕様を教えて」のような一問一答には強い。
ところが「当社の全プロジェクトに共通するリスク要因は何か」と聞かれると途端に弱くなる。答えが1つの文書に書かれていないからである。複数の議事録、報告書、メールを横断的に読み解いて初めて浮かび上がるような知見は、テキスト片の類似度検索では拾えない。
現場で「RAGを入れたのに使えない」という声が出るとき、原因の多くはこの構造的な限界にある。

ナレッジグラフで関係性を可視化する仕組み

GraphRAGはまず、文書群から人名、組織名、プロジェクト名といったエンティティを抽出し、それらの間の関係をナレッジグラフとして構造化する。「AさんはBプロジェクトの責任者」「BプロジェクトはC部門の予算で運営」といった三つ組の集合体になる。
検索時にはベクトル類似度だけでなく、グラフ上の経路をたどって関連情報を集める。直接的に類似していなくても、関係性のチェーンで繋がっている情報が取得できる。
Microsoftが2024年に公開した研究では、この手法によって要約タスクの網羅性と多様性が大幅に向上したと報告されている。とはいえ、グラフの構築自体にLLMを使うため、処理コストは通常のRAGより重い。

コミュニティ検出とグローバルサマリ

Microsoftの実装で特徴的なのが、コミュニティ検出というステップである。グラフ内のエンティティを密接に関連するグループに自動分割し、各コミュニティごとに要約を事前生成しておく。
ユーザーが広範な質問を投げると、関連するコミュニティの要約をまず参照し、そこから必要に応じて個別のエンティティやテキスト片に掘り下げる。トップダウンとボトムアップの両方向から情報を集約できる設計になっている。
この二段構えが「全体像を把握しつつ、細部も正確に答える」という離れ業を実現している。ただし、コミュニティの粒度設定を間違えると、要約が粗すぎたり細かすぎたりして使い物にならない。

導入の判断基準と実務上の注意点

GraphRAGが真価を発揮するのは、社内に数千件規模の文書があり、それらが相互に関連している環境である。法務部門の契約書群、研究開発部門の論文アーカイブ、コンサルティングファームの過去案件データベースなどが典型的な適用先になる。
逆に、FAQのように質問と回答が1対1で対応する用途なら、通常のRAGで十分足りる。グラフ構築のコストが回収できない。
実装面では、エンティティ抽出の精度がグラフ全体の品質を左右する。固有名詞の表記ゆれ、略称と正式名称の混在、部門名の変更履歴といった泥臭い前処理が成否を分ける。技術的には華やかだが、地味なデータクレンジングから逃げられない点は通常のRAGと変わらない。

当社の見解

当社はAI長期記憶システムを自社開発・運用している。開発のきっかけは、AIと経営戦略の壁打ちで出した結論がセッション切れで消えたことで絶望を感じた。1日かけて議論してきたことを振り返り、では事業計画書に落とし込むように指示を出したところ、「そのような記録はありません」と言われたことで、強烈な危機感を覚えこれは何としても解決しなければならない問題だと感じた。記憶がないAIは毎朝記憶喪失になる新入社員と同じだ。記憶があるAIは、前提条件を理解した上で本題に入れる。短いプロンプトで済むようになり、「前に言ったように実行して」と曖昧で短いプロンプトでも業務を遂行してくれる。同じことを繰り返し伝える回数も減り、開発業務でも同じミスを繰り返しにくくなり、人間の手戻りが減り、ストレスも減る。AIで本当に業務の質を上げるならば、記憶はマストである。

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