セマンティックセグメンテーション
読み: セマンティックセグメンテーション
セマンティックセグメンテーションとは
セマンティックセグメンテーションは、画像内の全ピクセルにカテゴリラベルを割り当てるコンピュータビジョン技術である。「この領域は道路」「ここは歩行者」「あそこは建物」というように、画像を意味単位で塗り分ける。自動運転、医療画像診断、衛星写真解析などで不可欠な基盤技術になっている。
かんたんに言うと
写真に写っているものを、塗り絵のように色分けする技術である。人間なら一目で「ここが道で、ここが人」とわかるが、コンピュータにとってはピクセル1つ1つに「これは何か」を判定させる計算が必要になる。
画像分類や物体検出とセマンティックセグメンテーションの決定的な違い
画像認識の分野には似たような技術がいくつかある。混同しやすいので整理しておく。
画像分類は「この画像に猫が写っている」と判定するだけ。物体検出は「猫がこの位置にいる」と矩形で囲む。セマンティックセグメンテーションは「この画像のうち、どのピクセルが猫か」を示す。
さらにインスタンスセグメンテーションという技術もある。セマンティックセグメンテーションが「猫」というカテゴリで一括りにするのに対し、インスタンスセグメンテーションは「猫A」と「猫B」を個別に識別する。
自動運転では、前方の歩行者が1人なのか3人なのかを区別する必要があるため、インスタンスセグメンテーションが使われる場面が多い。一方、農地の衛星画像から作物の種類ごとの面積を算出するような用途では、セマンティックセグメンテーションで十分である。
<a href="/ai-glossary/u-net/">U-Net</a>とFCNが切り開いた技術的な道筋
セマンティックセグメンテーションの転換点となったのは、2015年に発表されたFCN(Fully Convolutional Network)である。従来の画像分類ネットワークの全結合層を畳み込み層に置き換えることで、任意サイズの画像に対してピクセル単位の予測を出力できるようになった。
同年に発表されたU-Netは、医療画像のセグメンテーション用に設計されたアーキテクチャで、エンコーダとデコーダをスキップ接続でつなぐ構造を持つ。少ないトレーニングデータでも高い精度を達成できることから、医療分野を中心に広く採用された。
その後、DeepLabシリーズ(Google)やPSPNet、SegFormerといったモデルが登場し、精度とスピードの両立が進んでいる。最近ではTransformerベースのアーキテクチャが台頭してきたが、GPUメモリの消費量が大きく、エッジデバイスへの展開にはまだ課題が残る。
自動運転と医療画像での実用例
自動運転は、セマンティックセグメンテーションが最も大規模に使われている領域である。カメラが捉えた映像をリアルタイムで解析し、道路、車線、信号、歩行者、他の車両をピクセル単位で識別する。TeslaのAutopilotやWaymoの自動運転システムでは、LiDARのポイントクラウドと組み合わせた3Dセグメンテーションも活用されている。
医療画像の分野では、CT画像から臓器の輪郭を自動で抽出したり、網膜の眼底写真から病変部位を検出したりする用途で成果が出ている。放射線科医が1枚の画像を読影するのに数分かかるところを、AIが数秒で候補領域をハイライトする。
ただし、医療分野でのAI活用には規制の壁がある。FDA(米食品医薬品局)やPMDA(医薬品医療機器総合機構)の承認プロセスを経る必要があり、精度が高いだけでは現場に導入できない。
アノテーションコストという現実的なボトルネック
セマンティックセグメンテーションの訓練には、ピクセル単位のラベル付けが施された教師データが必要になる。これがかなりの手間である。
画像分類なら「猫」とタグを付ければ済む。物体検出なら矩形を1つ描けばいい。だがセマンティックセグメンテーションでは、画像内の全ピクセルに正解ラベルを割り当てなければならない。1枚の画像のアノテーションに30分以上かかることも珍しくない。
この問題を緩和する手法として、弱教師あり学習(画像レベルのラベルからピクセルレベルの予測を学習する方法)や、合成データ(ゲームエンジンで生成したCG画像を教師データに使う方法)が研究されている。GTAVのゲーム画面から生成されたCityscapesデータセットは、自動運転研究のコスト削減に貢献した実例のひとつである。
導入を検討する際のポイント
自社の業務にセマンティックセグメンテーションが必要かどうかは、「ピクセル単位の精度が本当に必要か」で判断するのが早い。
製品の外観検査で「傷の有無」だけがわかればいいなら、物体検出や画像分類で事足りる。傷の面積や形状まで把握する必要があるなら、セグメンテーションの出番になる。
技術選定に入る前に、まず教師データの確保計画を立てることを勧める。社内にアノテーション可能な画像が何枚あるか、ラベル付けの品質を誰が管理するか。モデルの精度は教師データの質に直結する。AIの導入でつまずく原因は、アルゴリズムの選定よりもデータ準備の見積もりミスであることが多い。
当社の見解
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