サンクコスト

SUNK COST
読み: サンクコスト

読み: サンクコスト

サンクコストとは撤退判断の鍵

サンクコストは、すでに支払い済みで取り戻すことのできない費用を指す。埋没費用とも呼ばれる。経済学の基本概念であるが、IT投資やDXプロジェクトの撤退判断において、この概念を正しく理解しているかどうかが経営の質を左右する。

かんたんに言うと

映画館で1,800円払って映画を観始めたが、30分で面白くないとわかった。「もったいないから最後まで観よう」と残りの90分を費やすのがサンクコストの罠である。合理的に考えれば、つまらない映画に90分を追加投入するより、席を立って別のことをしたほうが得になる。

もったいないが判断を歪めるサンクコストのメカニズム

人間の意思決定には、過去に投じたコストに引きずられるバイアスがある。行動経済学ではこれを「サンクコスト効果」と呼ぶ。
冷静に考えれば、過去の支出は未来の判断に影響させるべきではない。判断基準は「ここから先、投じるコストに対してリターンが見合うか」だけである。しかし現実には、多くの人がこの原則に反する行動を取る。
3,000万円かけたシステム開発が途中で行き詰まっている。ここで撤退すれば3,000万円が丸損になる。だから追加で2,000万円を投じて完成させよう。この判断は、3,000万円というサンクコストに引っ張られている。
本来問われるべきは「追加の2,000万円を投じてできあがるシステムは、2,000万円以上のリターンを生むか」だけである。生まないなら、3,000万円の損失を確定させてでも撤退するほうが傷は浅い。

IT投資で頻発するサンクコストの罠

IT投資はサンクコストの罠に陥りやすい構造を持っている。
まず、開発期間が長い。基幹システムの刷新は数年がかりになることもあり、プロジェクト途中で環境が変わっても「ここまで来たのに今さら止められない」という空気が組織に蔓延する。
次に、投資額が見えにくい。外注費だけでなく、社内メンバーの工数、他プロジェクトへの機会損失、ベンダーとの調整コストが積み重なっている。全体像が見えないからこそ「まだ行ける」と錯覚しやすい。
さらに、撤退判断に責任が伴う。プロジェクトを推進した役員が自ら中止を宣言すれば、判断ミスを認めることになる。組織の政治力学がサンクコスト効果をさらに強化する。

DXプロジェクトにおける撤退判断の技術

サンクコストの罠を回避するには、撤退基準をプロジェクト開始時に決めておくのが効果的である。
「フェーズ1の検証で顧客満足度がXポイント以上改善しなければフェーズ2に進まない」「PoCの結果、ROIがY%を下回ればプロジェクトを中止する」といった数値基準を事前に設定しておく。感情ではなく数字で判断する仕組みを作るのがポイントになる。
もう一つ有効なのは、第三者レビューの導入である。プロジェクトの当事者は、自分が推進してきた取り組みを客観的に評価しにくい。外部のコンサルタントや、別の事業部のメンバーによるレビューを定期的に実施することで、サンクコスト効果によるバイアスを軽減できる。
とはいえ、撤退判断は常に正しいとは限らない。あと少しで成果が出る局面で撤退してしまえば、それこそ本当の損失になる。大事なのは「過去の投資額」を根拠にせず、「将来のリターン見込み」だけを根拠に判断しているかどうかを自問することである。

個人の意思決定にも潜むサンクコスト効果

サンクコストの罠は組織だけの話ではない。
資格取得のために半年間勉強したが、途中でその資格が自分のキャリアに必要ないと気づいた。しかし「ここまでやったのだから」と試験を受け、合格後も使わない。費やした半年分の学習時間がサンクコストとして作用し、撤退を妨げている。
転職も同様である。「この会社に10年いるから」という理由で留まるのは、10年という時間のサンクコストに引きずられている。判断基準は「ここから先の10年で、この会社にいることが最善か」だけのはずである。
AI導入の意思決定でも同じ構造が発生する。「AIベンダーとの契約を半年前に結んだのに、想定通りの精度が出ない。でも解約すると違約金が発生するし、もう少し続ければ改善するかもしれない」。この迷いの中に、サンクコスト効果が確実に混ざっている。

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