BigQueryを使うべきとき不要なときの線引き

BigQueryはどういうときに使うものなのか?

またどういうときには不要なのか?

「BigQueryを使うべきか、GA(Google Analytics)やGSC(Search Console)の画面だけで事足りるかの境界線」について解説します。

結論から言うと、PV数よりも何をやりたいか(分析の深さ)と「データの保持期間」で線引きをするのがプロの現場の手法です。

そもそもBigQueryとは

結論から言うと、BigQueryはGoogleが提供している「数億行レベルの超巨大なデータを信じられないほど一瞬で集計・分析できるスーパーデータベース」です。

Excelやスプレッドシート、Googleアナリティクスなどで「データが多すぎて固まった」「処理が終わらない」という限界を超えた時に使う、分析の最終兵器のような存在です。

BigQueryを使うべきとき

1. スプレッドシートやGASでの処理が限界のとき

サーチコンソール(GSC)のデータは、「どのキーワードで、どの人が、どのページを、何位で見たか」を毎日全件記録するとなると、すぐに数十万行〜数百万行に膨れ上がり、スプレッドシートだとファイルが開けなくなったり、GAS(Google Apps Script)だと「実行時間が長すぎます(6分エラー)」で止まってしまいます。

BigQueryなら1億行あっても、ほんの「数秒」で平均順位や合計クリック数を計算してくれます。

2. 「複雑で重い計算」を全自動でやらせたいとき

例えば当社では、SEO分析の作業で、「期待CTRとのギャップを出し、機会損失(Lost Clicks)を計算し、AI(AIO)の影響で順位は不変なのにクリック数だけ減ったクエリを特定し、アクションプランを割り出す」という複雑な計算(SQL)を行っています。

BigQueryを使うと、この超複雑な計算を「毎週月曜の朝9時に全データに対して一瞬で自動実行・上書きする」といったシステム(データマート)が簡単に構築できます。

3. スプレッドシートやLooker Studioと「繋げて」使いたいとき(Connected Sheets)

BigQuery自体は「黒い画面でコード(SQL)を書く場所」なので、専門家以外には使いにくいです。

しかし、実は「スプレッドシートの裏側のエンジン」としてBigQueryを繋ぐことができます(これがお客様のURLのスプレッドシートの状態です)。

これにより、コンサルタントは「いつもの使い慣れたスプレッドシートを開く」だけで、実はその裏でBigQueryが数百万行のデータを処理して答えの抽出データだけをポンッと表示してくれている状態になります。

4. 標準画面では見られない掛け合わせ分析をしたいとき

これが最も明確な用途の分かれ目になります。GA4やGSCの管理画面は「Googleが用意した箱(表・グラフ)」の中でしかデータを見ることができません。

GSC/GA4で事足りるケース

  • 「今月、どの記事のアクセスが一番多かったか?」
  • 「『東京 カフェ』というキーワードで何クリックあったか?」
  • このように、単一の指標を素直に見るだけなら、管理画面のエクスポートで十分です。

間違いなくBigQueryを使うべきケース

「東京 カフェ」というキーワード群を”探索クラスター”としてまとめ、それぞれの1〜10位の理想的なCTRと実際の数値のギャップを計算し、さらに先月との推移を比較して、改善すべきページのURLを一覧化する」

このように、「オリジナルな計算式(期待CTR)」や「独自のグループ分け(インテント分類)」をデータに掛け合わせて自動出力させたい場合は、どんなに小規模なサイトでもBigQueryが必須になります。GSCの画面ではこれらの独自計算式を設定できないからです。

5. データエクスポートの上限「1,000行の壁」にぶつかるとき

Search Console や GA4 の管理画面からデータをダウンロード(CSVエクスポートなど)する際、1000クエリまでしか出力できないという上限があります。

GSCの管理画面からエクスポートできるデータの上限は常に1,000行です。ロングテールSEOを行っているサイトであれば、月間数万PV程度でも、クリックされたキーワードの種類は1,000を余裕で超えます。

1,001位以下のお宝キーワード(表示はされているがまだクリックされていないキーワード等)を抽出して分析したい場合、GSCの管理画面だけでは見えにくいため、1日の全データがまるごと飛んでくBigQueryの一括データエクスポート機能を使うことになります。月間の検索クエリ(流入キーワード)の種類が1,000個を超える場合はBigQueryを使うケースに該当します。

6. 16ヶ月前・2ヶ月前のデータ資産を残したいとき

Search Consoleのもう一つの大きな罠が「データ保持期間」です。

GSC/GA4で事足りるケース

「直近1年間の振り返りができればOK」という場合です。GSCは過去 16ヶ月分 のデータしか保存してくれず、それ以前のデータは自動で消滅します。GA4の無料版は最大でも14ヶ月で消えます。

間違いなくBigQueryを使うべきケース

  • 「2年前の繁忙期(同じ季節)と今の検索パフォーマンスを比較したい」
  • 「サイト立ち上げ時から現在までの、5年間のクエリトレンドの推移を追いたい」

BigQueryにデータを転送(同期)する設定をしておけば、データは半永久的にあなたのGSC/GAアカウントではなく、手元のBigQueryに保存され続けます。「会社のデータ資産をGoogleから切り離して永続保管する」という目的だけでも、小規模のうちからBigQuery連携(無料枠で十分収まります)をしておく企業は非常に多いです。

まとめ

  • 【GA/GSCでOKの小〜中規模サイト】
    • 「日々のPVや流入キーワード(上位1000件)をポチポチ画面で確認できれば良い」
    • 「独自の複雑な分析はせず、Googleのレポートに満足している」

  • 【BigQueryへ移行すべきサイト】
    • 「1000位以下のロングテールキーワードの”機会損失”まで洗い出したい」
    • 「『自社基準の指標(期待CTRギャップ等)』を自動計算してダッシュボードを作りたい」
    • 「16ヶ月以上の長期間の比較データを永久補完して資産にしたい」

弊社が行っているCTR・機会損失診断やAIO影響分析といった独自の複雑な計算式で、1000行を超える全クエリから答えを出す処理を完璧に満たすため、BigQueryという裏側のエンジンが採用しています。

SEO×CRO×BigQueryの構築・運用のご相談は当社までご相談ください。

これを書いた著者

小長谷直登のイメージ
株式会社ユニバーサルマーケティング代表取締役|ビジネスアナリスト
小長谷直登
1984年神奈川県足柄上郡生まれ。ユニバーサル・マーケティング株式会社 代表。
マーケティング領域の専門知識をAIプロダクトに変換し、プロフェッショナルの成果を引き上げる仕組みを設計しています。
20年超のマーケティング実務で66社の売上改善・LTV向上に携わり、得られた知見をMOps/RevOps設計とAIプロダクト開発に集約。現在はAIが記憶を持ち、過去の失敗と成功から自律的に学ぶ「AI長期記憶システム」を開発しています。
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