BigQueryとは?自社のデータで判断できる会社になるための基本
BigQueryは、Webサイト、広告、問い合わせ、売上など、ばらばらにあるデータを1か所に集め、自社に必要な答えを取り出すための仕組みです。
難しそうに見えますが、最初に理解することは1つだけです。BigQueryは、数字を見るための新しい画面ではありません。「自社で判断するための材料をまとめて置く場所」です。
この記事で分かること
- BigQueryとは何かを、専門用語なしで理解できます。
- GA4だけで見る場合との違いが分かります。
- 自社に必要か、まだ早いかを判断できます。
- 失敗しにくい始め方と、最初に確認する項目が分かります。
BigQueryとは、大量のデータを集めて調べる場所です
BigQueryは、Google Cloudが提供しているデータ分析サービスです。大量のデータを保管し、必要な条件で素早く集計できます。このような場所を「データウェアハウス」と呼びます。
たとえば、GA4のアクセスデータ、広告費、問い合わせ、CRMの商談情報、売上データをまとめると、次の流れで判断できるようになります。
BigQuery自体が正しい答えを自動で決めるわけではありません。正しい計測とデータのつなぎ方を用意し、その上で自社の問いに合った集計を行います。
BigQueryを検討したい3つの悩み
GA4や広告管理画面、有料の分析ツールで必要な判断ができているなら、急いでBigQueryへ移る必要はありません。次のような悩みが続いている場合に検討します。
自社独自の問いに答えられません
「商品AとBを両方見た人は受注しやすいか」など、一般的なレポートにない切り口を調べたい状態です。
集客と売上がつながりません
問い合わせ数は見えても、どの広告や記事が商談・受注・利益につながったか分からない状態です。
外部の報告を自社で確かめられません
代理店やベンダーの提案が妥当か、自社のデータで同じ条件を使って確認できない状態です。
導入前に決める問い
「どの数字を出したいか」ではなく、その数字を見て何を決めたいかを1つ選びます。問いが決まらないままデータだけを集めると、使われない基盤になりやすいためです。
GA4とBigQueryは、役割が違います
GA4は、用意されたレポートですぐに状況を見るのが得意です。BigQueryは、GA4から書き出したイベント単位のデータを使い、独自の条件で調べるのが得意です。
| 比べる点 | GA4の画面 | BigQuery |
|---|---|---|
| 向いていること | 決まった指標をすぐ確認する | 自社独自の条件で集計する |
| データの見方 | レポートや探索で見る | イベント単位のデータをSQLなどで調べる |
| 他データとの連携 | できる範囲が限られる | 広告、CRM、売上などと組み合わせやすい |
| 注意点 | 探索では条件によりサンプリングやデータしきい値の影響があります | 権限、個人情報、計測品質、利用料金の管理が必要です |
BigQuery Exportでは、GA4が受け取ったイベントデータをBigQueryへ書き出します。GA4標準プロパティの日次エクスポートには、現在1日100万イベントの上限があります。ただし、同意状況、計測漏れ、除外設定、処理方法などにより、GA4画面とBigQueryの数字が完全に同じになるとは限りません。どちらかを無条件に正しい数字とせず、定義をそろえて突合することが大切です。
BigQueryで見つけやすくなる答え
問い合わせ前に読まれた記事は何か
最後に見たページだけでなく、最初の訪問から問い合わせまでの流れを調べます。
どの集客方法が受注につながったか
広告費、流入元、問い合わせ、商談、受注をつなぎ、問い合わせ数だけでは見えない貢献を比べます。
何回目の訪問で問い合わせたか
1回の訪問だけでなく、再訪を含めた動きを見て、検討期間に合う施策を考えます。
計測が急に増減していないか
二重計測や欠損の疑いがある変化を毎日確認し、判断に使う前に止めます。
元記事で紹介していたBtoB製造業の匿名事例では、計測を見直した結果、次の傾向が見つかりました。
匿名化した計測事例
事例の数値はクライアントを特定できないように調整しています。他社でも同じ結果になることを示すものではありません。
売上まで見たい場合は、CRMとの連携が必要です
GA4とBigQueryだけで分かるのは、基本的にWebサイト上の行動までです。問い合わせ後の商談、見積もり、受注、売上は、CRMや販売管理のデータとつながなければ分かりません。
ここで重要になるのが、問い合わせと受注をつなぐ共通IDです。フォーム送信時に発行した番号をCRMにも保存すると、Web上の行動と営業結果を同じ人・同じ案件として確認しやすくなります。
個人情報は必要以上に入れません
氏名、メールアドレス、電話番号などを、そのままBigQueryへ集める設計は避けます。目的、同意、保存期間、閲覧権限を決め、必要最小限のIDでつなぎます。
BigQueryの料金は、保管量と調べた量で決まります
BigQueryは、主にデータの保管とクエリ処理に料金がかかります。オンデマンド分析では、Google Cloud公式料金で毎月最初の1TiBまで無料です。1TiBを超えた分は、地域や契約通貨に応じた料金がかかります。
ただし、BigQueryの利用料が小さくても、計測設計、データ連携、権限管理、監視、レポート作成、保守には別の費用がかかります。導入費用は「クラウド利用料」と「人が行う設計・運用費」を分けて比べます。
- 実行前に読み取るデータ量を確認します。
- 必要な列と期間だけを指定します。
- クエリごとの上限を設定します。
- 日次・ユーザー別の使用量を監視します。
AIはSQL作成を助けますが、確認する人は必要です
SQLは、BigQueryから必要なデータを取り出すための命令文です。現在は生成AIへ日本語で条件を伝え、SQL案を作ることもできます。そのため、最初からすべての文法を暗記する必要はありません。
一方で、AIが作ったSQLが正しい集計単位になっているか、個人情報を扱っていないか、読み取るデータ量が大きすぎないかは確認が必要です。AIは作成を速くする補助役であり、定義・権限・費用の責任者ではありません。
小さく始める4つの段階
最初からすべてのデータをつなぐ必要はありません。元記事のロードマップを、判断しやすい順番に整理すると次のとおりです。
計測の土台を確認します
GTMタグ、CV定義、重複、欠損、GA4とBigQueryの差を確認します。
Web行動を分析します
問い合わせまでの流れ、離脱、再訪、記事の回遊を見ます。
検索データを加えます
Search Consoleの検索語句・ページと、Web行動を比べます。
商談・売上をつなぎます
CRMを連携し、集客から受注・売上までの貢献を見ます。
最初にそろえたい4つの成果物
- GTMタグの棚卸し一覧
- CV定義書
- GA4とBigQueryの突合レポート
- 異常を見つける日次監視
この4つがないまま高度な分析へ進むと、間違ったデータから間違った結論を出す危険があります。分析画面を作る前に、判断に使う数字が信頼できるか確認します。
実務でつまずきやすい5つの点
| つまずきやすい点 | 何が起きるか | 最初にする確認 |
|---|---|---|
| 外部フォーム | iframe内の送信完了を通常のGTMで取れない場合があります。 | テスト送信を行い、GA4とBigQueryの両方で現物を確認します。 |
| SPA・Next.js | 画面が切り替わっても通常のページビューが発生しない場合があります。 | 仮想ページビューと二重計測の有無を確認します。 |
| 追加イベント | スクロール率など、計測していない行動は後から分析できません。 | 将来の分析に必要なイベントを先に定義します。 |
| 連携開始前の期間 | GA4の日次BigQuery Exportは、通常、連携後に届くデータが対象です。 | 開始日と初回テーブルを確認し、過去分があると決めつけません。 |
| 権限と課金 | 権限不足や請求設定の問題でエクスポートが止まる場合があります。 | プロジェクト、リージョン、請求先、担当者、通知先を固定します。 |
よくある質問
GA4の画面を見るだけではだめですか?
必要な判断ができているなら、GA4だけでも問題ありません。独自の条件で行動を追いたい、広告・CRM・売上をつなぎたい、長期のイベントデータを自社管理したい場合にBigQueryを検討します。
BigQueryを使えば、GA4より正確になりますか?
自動的に正確になるわけではありません。BigQueryにはGA4が受け取ったイベントが書き出されます。元のタグが重複・欠損していれば、その問題も引き継ぎます。GA4とBigQueryで数字の定義をそろえ、突合してから使います。
過去のGA4データもすべてBigQueryへ入れられますか?
通常の日次BigQuery Exportは連携後のデータが中心です。GA4画面から出せる集計値と、BigQueryへ書き出されるイベント単位のデータは同じものではありません。連携前のデータが必要な場合は、取得できる範囲と用途を個別に確認します。
Search Consoleのデータも入れられますか?
Search ConsoleにはBigQueryへの一括エクスポート機能があります。プロパティ所有者の権限、Google Cloudの請求設定、データセットの場所などを確認して設定します。検索データとGA4データは、そのまま同じ人を追跡できるものではないため、ページや日付など目的に合う単位で分析します。
SQLを書ける担当者がいなくても始められますか?
生成AIや外部支援を使って始めることはできます。ただし、CV定義、権限、個人情報、クエリ費用を確認する担当者は必要です。まずは繰り返し使う集計を1つ作り、結果を検証してから広げます。
最初に何から始めればよいですか?
会議で決められていないことを1つ選びます。たとえば「どの集客方法へ予算を移すか」です。その判断に必要な数字、データの場所、担当者、正本を決め、最小範囲で計測と突合を始めます。
まとめ
- BigQueryは、ばらばらのデータを集め、自社に必要な答えを取り出す場所です。
- GA4だけで必要な判断ができているなら、急いで導入する必要はありません。
- 集客と売上をつなぐ、自社独自の問いに答える、外部報告を検証する場合に役立ちます。
- 最初は大きな基盤ではなく、会議で決められていないことを1つ選んで始めます。
- 分析前に、タグ、CV定義、重複、欠損、権限、個人情報、料金を確認します。
自社にBigQueryが必要か整理します
今あるデータと、会議で決めたいことを確認し、必要な範囲を小さく切り分けます。
これを書いた著者

