LangChain / LangGraph
読み: ラングチェーン / ランググラフ
LangChainとはAI連携基盤
LangChainとLangGraphがLLMの可能性を拡張する開発フレームワークの全体像
OpenAIのGPT-4oやAnthropicのClaude 3.5 Sonnetは確かに優秀である。だが、APIを叩いてテキストを返すだけの単発処理では、実際の業務には組み込めない。
社内データベースの検索結果をプロンプトに埋め込み、出力結果を別のシステムにAPI経由で渡す。こうした一連の手順をコードとして記述するための糊の役割を果たすのがLangChainである。
LLMはただの推論エンジンに過ぎない。
それを手足となるツール群と結びつけ、AIエージェントとして機能させるための土台となる。ただ、何でもかんでもフレームワークに頼るべきかは判断が分かれる。単純なRAGなら、素のPythonコードを書いた方が早いことも少なくない。
LangChainとLangGraphの動作原理と役割の違い
LangChainはその名の通り、プロンプトの生成からLLMの呼び出し、出力の解析までを鎖のように繋ぐ。直線的な処理には向いている。
では、途中でエラーが起きたらどうするのか。
検索結果がゼロだった場合、別のキーワードで再検索させたい。こうした条件分岐やループ処理、つまりステートマシンの概念を持ち込んだのがLangGraphである。処理の状態を保持し、過去の文脈を踏まえて次の行動を決定する。
これにより、自律的に思考して動くエージェントの構築が現実味を帯びる。とはいえ、無限ループに陥るリスクと常に隣り合わせである。どこで処理を打ち切るかの設計は、開発者の腕の見せ所であり、同時に最も頭を抱える部分でもある。
ビジネス現場における活用事例と代表的な連携ツール
法務部門の契約書チェックを例に挙げよう。
Notionに蓄積された過去の法務相談記録をPineconeなどのベクトルデータベースに格納しておく。LangChainを使って、新規の契約書テキストとPineconeの類似検索結果を組み合わせ、LLMにリスク判定をさせる。
物流の現場ならどうか。
Salesforce上の顧客の納品希望データと、リアルタイムの交通情報APIをLangGraphで連携させる。配送遅延のリスクを検知したら、代替ルートを再計算してドライバーの端末に通知する。こうした複雑なワークフローも構築可能である。ただ、外部APIの仕様変更にどこまで追従できるかという運用上の懸念は常に付きまとう。
導入によって得られる恩恵と事前に知るべき技術的制約
開発スピードは劇的に上がる。ゼロからAPI連携の処理を書く手間は省ける。
しかし、現場のエンジニアを苦しめるのはアップデートの異常な早さである。
LangChainは破壊的変更を平気で入れてくる。数ヶ月前に書いたコードが、ライブラリのバージョンを上げた途端に動かなくなる。オープンソースの宿命とはいえ、この保守コストを甘く見ると痛い目を見る。
最新の機能に飛びつくか、安定した古いバージョンを使い続けるか。現場の責任者としては非常に悩ましい。技術の進化に振り回されず、自社の要件に本当に必要な機能だけを切り出して使う割り切りも求められる。
自社システムへの組み込みを判断するための評価基準
結局のところ、これらのフレームワークを採用すべきか。
社内にPythonのコードを読み書きでき、かつLLMの挙動の癖を理解しているエンジニアがいるかどうかが分水嶺になる。ドキュメントは英語が基本で、しかも情報がすぐに古くなる。
流行っているからという理由だけで飛びつくのは危険である。
単純な社内QAボットなら、Difyのようなノーコードツールで事足りる。あえてLangGraphを使って複雑な状態管理を実装するなら、それに見合うだけの高度な業務要件が必要である。技術的負債を抱え込む覚悟があるか。システムを運用し続ける現場の体力を冷徹に見極める必要がある。
当社の見解
当社ではClaude Code・Antigravity・Codexの3つのAIエージェントを日常業務で併用している。記憶を共有しているため、別のAIに同じ説明を繰り返す必要がない。ただし、記憶共有だけでは足りなかった。一方のAIが他方の成果物を勝手に修正して壊す事故が起きた。これを受けてファイル所有権制度を導入し、どのAIがどのファイルを所有するかを定義した。AIの自主性に頼らず、仕組みで上書きや巻き戻りを防いでいる。
同じ失敗を二度としないAIエージェント
今のAIは、聞けば何でも答えてくれます。
でも、セッションが切れた瞬間に前回の失敗を忘れます。
当社が開発しているAIは、過去の経緯を念頭に置いて、
聞かれる前に「それは前回うまくいきませんでした」と声をかけます。
人間にも同じ失敗をさせず、AI自身も繰り返しません。
古参の社員が横にいるように、黙っていても気づいてくれる。
それが、当社が考える本当のAI社員です。
